投資の基本姿勢として、常日頃お伝えしているのは、「長期」「分散」です。ただし読者の方は、このコラムでは「機動的な」「コツコツ利益」投資を勧めている時があることもご存じでしょう。

先週土曜日の日経新聞に「投資の心得 経験者に学ぶ」という記事がありました。
2013年の投資の「勝ち組」(利益率40%以上)と「残念組」(0%かマイナス)のアンケート結果から投資歴、売買間隔、勉強時間、投資姿勢を比較しているものです。投資経験が長く、長期売買をし、投資の勉強をして積極的に投資する人が勝ち組に多い、という結論です。

冒頭の基本姿勢を肯定する結果で、記事を否定するつもりはありません。ただ、気になるのは、記事内容からここでの「投資」はほぼ「株式投資」に限定しているようなのに、(一か所「外貨建て資産」とありますが)その点についての言及がないことです。

2013年はご存じの通り、アベノミクス効果によって日本株市場が希にみる上昇を記録し、超円高であったドル円が急激に円安トレンドに変わった1年でした。
年初に日本株とドル資産を買ってずっと保有していれば、間違いなく勝ち組だったということです。相場が際立った方向感を持っていた2013年の1年に限定して、しかも商品を日本株中心とすると一般論にはなりにくいと思いませんか。

そもそも「投資」という一言でくくることが難しいと思います。
株式投資、債券投資、FX投資・・・いずれも金融商品に投資しますが、その商品性からスタンスが異なります。
株式は、企業、業界、経済全体が育つ恩恵を受けることができ、長期に渡ってお金を育てるのに向く商品でもあります。
債券は個人投資家にとっては債券型投信が身近だと思いますが、リスクとコストが比較的小さく、利息収入を得られ、こちらも長期投資に向きます。
ですがFXは、相場を捉えて機動的に投資する方が利益を積み上げ易いです。
何に投資をするにせよ、生き物である相場を相手にするわけですから、「木を見ずに森」を「鳥の目」をもって見て、「魚の目」で時流の判断をし、自らのスタイルを柔軟に対応させる必要もあります。

投資で、100%勝ち組でい続けることは不可能です。
負けることで、それが経験値となって相場に慣れていきます。ですから記事にある投資経験が長い人ほど勝っているというのは、何に投資をするにせよその通りだと思いますし、勝ち組の勉強時間が長いというのも納得です。
投資はギャンブルではありませんから、「あたり」「ハズレ」ではなく、市場と経済、為替と株式、ニュースの捉え方など勉強すればするほど、相場に慣れる後押しになるでしょう。

相場の時流を見ること、常に勉強し、それを継続する(長く続ける)、柔軟な対応をすることがどんな市場においても勝つ確率を上げてくれるはずです。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員