ヒトなどの多くの哺乳類は、離乳すると乳糖(牛乳などにも含まれる糖)を分解する酵素であるラクターゼの活性が減少し、乳糖を分解出来なくなり、お腹を壊したりします。しかし一部のヒト(人口の3分の1位らしいです)はラクターゼの活性が減少せず、乳糖耐性があります。なんで一部のヒトには乳糖耐性が備わってきたのか?

英科学誌ネイチャーに発表された最近の研究によると、従来考えられていた、牛乳の消費量が増えるに従って段々乳糖耐性が付いていったという仮説は誤りで、何年か(或いは何十年か)に一度来る飢饉や病気の時に、乳糖耐性のあるヒトの方が栄養を補給出来て生き延びやすく、その結果その遺伝子が自然淘汰されにくくて今に至ったと考えられるが、そのプロセスは何千年も掛かってきたらしいとのこと。

ふへー。そんなに時間が掛かることなのか。そしてそうまでしてでも家畜の乳を飲まずには居られないほど、ヒトは食糧の確保に苦労してきたのかと、思わざるを得ませんでした。飽食の時代とはごく最近のことであり、それ以上に現代に於いても、飽食の地域は、実はごく一部なのでしょうね。地球規模の食糧問題、先進国の食べ物の破棄問題は、とてつもなく大きい問題だと、再認識しました。自分ひとりで出来ることは限られていますが、忘れないようにしたいと思います。