平均貯蓄1739万円。
先週総務省が発表した2013年の家計調査報告による2人以上世帯の数字です。多い?少ない?どう感じますか?

この数字は「平均」のマジックで、実際は100万円未満の割合が一番多く、中央値は1023万円(勤労世帯に限れば中央値は735万円とのこと)。サンプル数は8000世帯程度ですし、一部の高貯蓄世帯が平均を押し上げているだけ・・・というカラクリです。

でも、だから平均より少ない貯蓄でも気にすることないよ・・・というのは困ります。特に一番多い「100万円未満」に該当している方は気持ちを切り替えることが必要でしょう。

株式市場は足踏み状況が続いています。海外情勢の影響を受けやすい地合いですし、アノマリーでも「5月は売り抜け」とも言われます。
市場は「気」を読んで大きく揺れ動きますが、企業業績そのものは回復基調にあり、8%になったばかりの消費税も来年には10%になる可能性は大です。

ベアやボーナスのアップといった嬉しいニュースも続きましたが、物価上昇の方が早く、経済全体が好転する過程においては、家計はまずは耐える時期もあります。
そんな時、「備え」が足りない、もしくは貯蓄の食いつぶしをしてしまうと、将来お金が必要な時にピンチとなってしまいます。

一般に月々の生活費の最低3カ月、できれば6カ月分以上は流動性資金として必要と言われます。月の生活費の平均(これも「平均」のマジックですが・・・)は2人以上世帯では30数万円というデータもありますが、この数字を使用すると3カ月分で100万円弱、6カ月分となれば200万円近くです。
100万円未満の貯蓄というのはそれだけ際どい金額だということ。

家族の人数や年齢、住んでいる地域などによって生活費は大きく異なりますので、ぜひご自分の家計で考えてみてくださいね。
上記データの中央値や平均値を目標にするのではなく、自分の生活にどれだけ必要かを認識して目標金額を確認しましょう。

さて、では足りない分はどうやって増やすかです。
以前も書きましたが、収入から必要生活費(家計の支出を把握していることが第一に必要)を除いて貯蓄に回せるお金を再計算してみましょう。
その上で、毎月、まずはその貯蓄分を差し引いてから残金内で生活するようにします。要は月々確実に貯蓄にお金を回すということ。

そのお金を普通預貯金に入れておいてはさすがになかなか増えてはくれません。リスクの低い短期の債券や利率が高めのネット定期預金(ただしなるべく短期)、若い世代で増やすことを重視するのであれば、積立投信など。
もちろんすぐに動かせる流動性の高いお金も必要です。
たとえ少額ずつでも分散させて保有するようにしましょう。

余裕資金ができてきたら、少しずつリスクの高い商品も組み入れてより「増やす」ことに軸足をずらしていくことで、将来お金に困らない家計を目指しましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員