昨年、NISAの活用例の一つとして生前贈与として非課税を利用することを書きました。
第332回 生前贈与にNISAを活用?
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2013/09/30.html

来年から相続税法が改正されることをご存じの方も多いと思います。
これまで相続税がかからないで済んだ世帯でも払わなければならなくなるケースが増えることは間違いありません。

まずはどのように税法が変わるのか、自分の家族は相続税がかかるのかを知っておき、早目に対策を講じておきましょう。

相続税法は改正される点が何カ所かありますが、もっとも影響を受けるのは基礎控除額が引き下げられる点です。
現在、遺産に係る基礎控除額は以下です。
5000万円+(1000万円×法定相続人の数)

もし法定相続人が3人(例えば、配偶者と子供二人)であれば、
5000万円+(1000万円×3人)=8000万円 です。
各人が相続や遺贈で受け取った財産の課税価格の合計から基礎控除額を差し引いた残りが「課税遺産総額」で、相続税の対象になります。
(ちなみに相続税率も最高税率が引き上げられます。)
したがって、現在は課税価格が8000万円以上なければ相続税はかかりません。
これが来年1月1日以降は、
3000万円+(600万円×法定相続人の数) が基礎控除額となります。
前例だと3000万円+(600万円×3人)=4800万円 ですから、課税対象となる人がぐんと増えますよね。

大切な財産、なるべく減らすことなく家族に残したいものです。
生前贈与や孫への教育資金贈与など、早めに世代を超えた財産分与が一般的ですが、これには心理的不安も発生しやすいものです。
寿命はいつまであるかわからないのに、早くに分与することで自身の貯蓄が目に見えて減ってきてしまい、途端に不安になってしまうのです。

そこでマネープランがお勧めです。実は高齢の方ほど立てやすいものです。ライフスタイルが急激に変わるリスクは少なく、また自身の財産、収入(年金収入であれば金額が確定)、支出(病気の備えをしっかり別にすれば)の把握がしやすいからです。

今後の収入、支出、現在の財産等から余裕資金を算出(病気などの備えも差し引いて)し、例えば100歳になっても流動性資金が十二分にあるようならば、その部分は生前贈与などを行っても、今後の人生を脅かすことがないはずです。

「相続」というと、どうしても家族で話しあいにくいものですが、人生は誰でも必ず終わりがくるものですし、生前の対策となれば前向きな気持ちで取り組めるのではないでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員