先月、子供の頃に住んでいたインドネシア、ジャカルタに行ってきました。新興国の発展の勢いなのか、基幹道路、主だった建造物にその名残はあるものの、周辺の整備、新しい高層ビルの林立でまるで異なる街並みのようでした。

30年分くらい早回しで街が作られてきたのかと思うほどです。
街中に走る車にも驚きました。聞きしに勝る大渋滞ですが、新車の高級外車が多く、何10年前の車?と思うような傷だらけの古い車などほぼ皆無。
街で見かける人々も大いに変わり、女性は最新のファッションをまとい颯爽と歩いていました。
ショッピングモールも、青山か銀座かと思うような高級ブランドショップが立ち並んでいます。

BRICsの「次の国々」の一つとして何年も前からその経済成長ぶりは注目されてきましたが、実際に見て(かつ過去の途上国と呼ばれた頃と比べると)納得です。
人口が多いだけに一人当たりの名目GDPなどはまだ先進国にははるかに及びませんが、2013年の実績でBRICsの一角である中国の半分強、ただしインドの倍以上あります。(日本の10分の1弱です。)
ただ経済成長率は、日本やアメリカはもちろん、シンガポールやロシアも凌ぎ、2013年は7.67%の中国にこそ及びませんが5.78%という高い数字で、しかもリーマン・ショック時を除き、2004年以降ずっと5%以上を維持してきています。
(ちなみに2014年の世界の経済成長率は3.6%とのIMF予想)

人口が世界で2番目に多いインドと4番目に多いインドネシアは、新興国の中でも類似点が多いと言われますが、世界に名だたるIT国家としてのインドと異なり、インドネシアは豊富な資源国として注目されています。
ただし、ずっと黒字だった貿易収支が2012年に過去最大の赤字となり、赤字が続くインド同様、資本流入依存を懸念されてはいます。

中間所得層が拡大し、急速に豊かになったと印象を受ける一方、その急成長に置いていかれたことで生まれたスラム街といった様相の一角も目にしました。昔の、みんなが貧しいけれど人々は大らかに暮らしているという感じとは明らかに違います。
また他国の都市ではまず見かけないほどのセキュリティー強化したホテルに驚きました。銃を手にしたガードマンによる門前の車の徹底したチェック、その後ホテル入口では宿泊者を含む全てのビジターのボディチェックおよび空港のチェックインカウンター同様の荷物のX線検査。
それだけ治安に不安要素があるということなのでしょう。

久しぶりに見たインドネシアの光と影。
不安要素、問題はあっても多くの資源があり、人口が多く、しかも中間所得層が拡大していることは事実で、将来的な経済成長については十分魅力を感じました。
長い目で見た投資対象国としては期待できるのではないでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員