個人投資家と異なり、決算期のある企業、機関投資家などの大口のプロ投資家は年度末、新年度を期に「仕切り直し」をする(させられる)こともが多いものです。
そのため、アノマリー例としても「彼岸底」(=年度末に売られやすい)、「新年度相場」(=4月の株高)などが知られています。
さて、今年はNISAも始まり、個人投資家は新しい投資先をいろいろと物色していることでしょう。
昨年の初めくらいまでは新興国は投資先として大きく注目されていましたよね。昨年はアベノミクスで盛り上がる日本をはじめ、米国経済も強さを見せ、投資マネーが続々と先進国に戻るようになりました。
米量的緩和の縮小は新興国からの投資マネーの引き上げを加速させ、同時に市場の不安定さ、政治リスクの大きさが露呈させています。
経済大国となった中国の不安定さ、アルゼンチン・ショック、ウクライナやタイの反政府デモや政治問題、エジプトの治安悪化等々、利上げで対抗しようとする各国の努力もむなしく年初からは急落しています。
このような書き方をすると、「やっぱり新興国は危ない?」と不安を煽るかもしれませんね。
実はこのような状況にもかかわらず、最近、新興国のプラス部分に触れる機会が重なりました。
学生時代の恩師である経済学の教授から久々にお話を聞く機会がありました。教授は政界や実経済界と太いパイプを持つ行動派の学者で、最近は中国やブラジルへの興味が大きく、ごく最近両国を訪れたとのこと。
市場関係者はどうしても直近のリスク度合いや市場観測をもって経済を見てしまいがちですが、学者目線だと経済の捉え方のスパンが大きく、直近100年内の歴史観や国民性、人口、資源などから期待し、語られる将来像は最近の不安要素を飛び越えたものがありました。
私自身、最近インドネシアを久々に訪問したのですが、その進歩と変貌ぶりに驚いたばかりです。急激な経済成長からは光と影が見えたのも事実で、それについては別の機会の書きますね。
いずれによせ「フラジャイル5」(=脆弱な5カ国)と呼ばれるトルコ、インド、インドネシア、ブラジル、南アではありますが、長い目で見れば期待度も高いと感じます。もちろんリスクが大きいのは間違いありませんが・・・!
ちなみに2001年に注目された「BRICS」(=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの総称)のうち3国は今や「フラジャイル」の代表とされ、あとは政治問題を抱えるロシアと経済を不安視される中国という皮肉な状況です。
投資を考える時、「虫、鳥、魚」の3つの目をもって見よと言われます。どの程度のスパンで投資するかで異なりますが、個別の動きを注視する「虫の目」はもちろん大切ですが、大きく全体を見る「鳥の目」と流れを見渡す「魚の目」もしっかりと持ちたいものですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員