モルガン・スタンレー(MS)決算:1株利益は1.44ドルで市場予想を下回る
モルガン・スタンレーは、世界有数の投資銀行で、その歴史は前身となる会社が設立された1924年にまで遡る。
事業は、機関投資家向け証券部門、ウェルス・マネジメント部門、投資運用部門で構成され、さまざまな金融商品やサービスを事業法人、政府系機関、金融機関や個人に提供している。
2021年末時点の顧客資産はおよそ5兆ドルにのぼり、従業員数は全世界でおよそ7万人を超える。純営業収益の約50%は機関投資家向け証券事業、残りをウェルス・マネジメント事業と投資運用事業が占める。米国外の拠点の純営業収益が全体のおよそ30%を占めている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★収入・・・前年同期比11%減の131.32億ドル(市場予想は133.27億ドル)
★1株当たり利益・・・1.44ドル(市場予想は1.57ドル)
純営業収益や1株あたり利益(EPS)が共に市場予想を下回った。投資銀行グループの収入は前年同期比55%減の10億7000万ドル(約1500億円)。アナリスト予想は47%減だった。ボラティリティーの高まりで債券トレーディング収入が急増し、トレーディング部門が投資銀の不調を補った。株式引き受けによる収入は1億4800万ドルに急減。債券引き受けは49%減の3億2600万ドル。助言手数料収入は9.9%減の5億9800万ドルだった。
今後の株価見通し
当面底値模索の動きとなろう。65ドルレベルに下値支持線がある。
シティグループ(C)決算:1株利益は2.19ドルで市場予想を上回る
シティグループは、100を超える国と地域で事業を展開するグローバルな金融サービス会社である。
グローバル・コンシューマー・バンキング部門、機関投資家顧客グループの2つの主要部門からなる。
主な業務は、米国での多国籍企業に対する国境を越えた銀行業務、投資銀行業務およびトレーディング、ならびにクレジットカードサービスである。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★総収入・・・前年同期比12%増の196.38億ドル(市場予想は184.31億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・2.19ドル(市場予想は1.70ドル)
1株利益、営業収益とも予想を上回った。金利上昇で純金利収入が増加したほか、顧客の堅調な取引量に支えられたとしている。また、トレーディング部門が予想を上回った一方、投資銀行部門は予想下回った。また、ロシアに関しては撤退に向けてあらゆる可能性を検討しているとしている。ロシア向けのエクスポージャーは直接および間接的エクスポージャーの与信枠は残り16億ドルとのこと。
今後の株価見通し
54ドル超えから、62ドルを目指す展開が見込まれる。
ウェルズ・ファーゴ(WFC)決算:1株利益は0.74ドルで市場予想を下回る
ウェルズ・ファーゴは、米国の最大手銀行のひとつである。総資産額はおよそ1.9 兆ドルに上る。事業は、リテイル銀行部門、商業銀行部門、企業・投資銀行部門、ウェルス・資産運用部門の主要な4つ部門を通じて展開されている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★収入・・・前年同期比16%減の170.28億ドル(市場予想は175.39億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・0.74ドル(市場予想は0.80ドル)
収入、調整済みEPSはともに予想を下回った。第2四半期は、利益がほぼ半減した。貸倒引当金の積み増しや、金利上昇による住宅ローン低迷が要因となった。第2四半期の利益は31億ドル(1株当たり0.74ドル)。前年同期は60億ドル(1株当たり1.38ドル)だった。
今後の株価見通し
42ドル超えから、46ドルを目指す展開となろう。
チャールズ・シュワブ(SCHW)決算:1株利益は97セントで市場予想を上回る
チャールズ・シュワブは、証券業務、銀行業務、資産運用業務を手掛ける金融サービス会社である。大規模な実店舗型の証券支店網とオンライン証券サイトを運営、モバイル取引機能も備え、証券業界で首位的地位を築いている。
また、銀行業務、投資信託事業も展開し、独立系投資アドバイザーにサービスを提供している。顧客の預り資産残高は8兆ドル(2021年末現在)を超え、投資事業会社では業界最大手に属する。ほぼすべての収益が米国で生み出されている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★調整後の収入・・・前年同期比13%増の50.93億ドル(市場予想は50.25億ドル)
★1株当たり利益(調整済み)・・・97セント(市場予想:90セント)
決算総括
収入、調整済みEPSともに予想を上回った。トレーディング収入は、前年同期比7.3%減の8.85億ドルと、市場予想(9.27億ドル)と下回った。アセットマネジメントとアドミニストレーション費収入は、前年同期比0.5%増の10.5億ドルと、市場予想(10.7億ドル)を下回った。
今後の株価見通し
65.50ドル超えから72ドルを目指す展開が予想される。
ゴールドマン・サックス(GS)決算:1株利益は7.73ドルで市場予想を上回る
ゴールドマン・サックスは、世界有数の投資銀行である。インベストメント・バンキング(純営業収益の20%)、グローバル・マーケット(45%)、アセット・マネジメント(20%)、コンシューマー・アンド・ウェルスマネジメント(15%)の各部門からなる。
純営業収益のおよそ60%を米国、15%をアジア地域、25%を欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域で得ている。2008年に銀行持株会社(2009年に金融持株会社)に転換、連邦準備制度理事会(FRB)の監督下にある。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★純収入・・・前年同期比23%減の118.64億ドル(市場予想は106.71億ドル)
★1株当たり損益(一部項目を除く)・・・7.73ドル(市場予想は6.65ドル)
トレーディング部門が好調で、全体の営業収益も予想を上回った。1株利益も予想を上回っている。トレーディング部門は債券・為替・商品(FICC)、株式部門とも好調だった。一方、投資銀行部門は他行同様に冴えない内容となった。
バンク・オブ・アメリカ(BAC)決算:1株利益は0.73ドルで市場予想を下回る
バンク・オブ・アメリカは、米国最大の金融機関の1つで、2兆5,000億ドル以上の資産を保有している。
カスタマー・バンキング、グローバル・ウェルス&インベストメント・マネジメント、グローバル・バンキング、グローバル・マーケットの4主要事業部門からなる。
消費者向け業務には、支店網や預金業務、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードやデビットカード、小企業向けサービスなどがある。メリルリンチ事業は、バンク・オブ・アメリカ・プライベートバンクと同様に、ブローカレッジやウェルス・マネジメント・サービスを提供している。ホールセール業務には、投資銀行業務、法人向けおよび商業用不動産融資業務、キャピタル・マーケット業務などが含まれる。米国外でも事業を展開している。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(4月-6月期)実績
★調整後の収入・・・前年同期比6%増の227.91億ドル
(市場予想:228.56億ドル)
★1株当たり利益(調整済み)・・・0.73ドル(市場予想0.76ドル)
1株利益、営業収益とも予想を下回った。トレーディング収入は株式が期待ほど伸びず予想を下回ったほか、投資銀行部門も不振だった。ただし、自社株買いの一時中止は計画していないと発表したことが好感された。
今後の株価見通し
34ドル超えから、投資タイミングを図ることになろう。