金融業界にも(たぶん、どの業界にもそれぞれあるのだと思いますが・・・)、ジンクスのような、「アノマリー」と言われるものがあります。

Wikipediaによれば、
「アノマリーとは、ある法則・理論からみて異常、または説明できない事象や個体等を指す。」
中でも
「市場アノマリーとは、効率的市場仮説と矛盾するような金融市場の価格およびリターンのねじれ現象をさす。」
とあります。

これまでに何度かアノマリーについては書いてきていて、下記でもほんの一部を紹介しています。
>第114回  市場の傾向
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2008/12/01.html

アノマリーはその定義通り、ほとんど根拠のないものが多いです。
ですが、プロの投資家の多くも注目しており、相場は人が動かすものだけに、結果として不思議とその通りになることも多いのです。

アノマリーと呼ぶには、法則も理論も「効率的市場仮説」の存在もない、言ってみれば「都市伝説」に近いものも投資家の間ではまことしやかに囁かれています。

その一つに「ジブリの法則」または「ジブリの呪い」というものがあります。耳にしたことがある方も多いかもしれませんね。
「金曜日に(一説には第一金曜日、つまり米雇用統計の日限定)スタジオ・ジブリの作品が放映されると市場が荒れる」というもの。

そもそも米雇用統計は投資家にとっては最重要指標の一つだけに、市場が荒れる要因になることも多く、また、ジブリ作品は日本テレビが独占放映権を持っているため金曜ロードショーで、つまり金曜日に放映されるわけですから、たまたま荒れる日と重なりやすいとも言えます。

とはいえ、ネットユーザーには熱烈なジブリファンも多く、『天空の城ラピュタ』の放映時にはアニメ内のセリフで「バルス!」(破壊の意味をもつ滅びの呪文)と叫ばれる時に「バルス!」と一斉に書き込むユーザーが大量にいて、「バルス祭り」と言われているとか!
ネットリテラシーが高い⇒ネット証券の活用⇒ネット投資家 も多くがこうした現象を知っている(または参加している?)ことは間違いないでしょう。
ちなみに「バルス祭り」ではサーバー負荷にも影響を与えるほどだということですから、警戒すべきとも言えますね。(ちなみに、『天空の城ラピュタ』は昨年8月に放映されたばかりですからしばらくはないでしょう。)

先週金曜日にもジブリ映画『ゲド戦記』が金曜ロードショーで放映されました。事前に米国相場の荒れを警戒している市場関係者も一部いたようです。
結果としては特別に荒れるということはありませんでしたが、こんな一見ジョークのような都市伝説でも、多くの人が同様の思惑を持ってすれば市場を動かすことにつながります。
頭から否定せずに柔軟な気持ちで受け止めて行くのもよいかもしれませんね。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員