【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ： 31,029.31 △82.32 （6/29）
NASDAQ： 11,177.89 ▼3.65 （6/29）
1.概況
米国市場は四半期末で機関投資家の資産配分見直しに伴う買いへの期待と、米連邦準備理事会（FRB）の金融引き締めによる景気後退への警戒感が交錯するなか小幅に高安まちまちとなりました。120ドル高でスタートしたダウ平均は直後にマイナスに転じましたが、52ドル安で下げ渋ると持ち直し205ドル高まで上昇しました。その後伸び悩むと昼過ぎには再びマイナスとなる場面もありました。しかし、下げ渋り底堅さをみせると取引終盤に再び200ドル高近くまで上昇するなど堅調に推移し結局82ドル高の31,029ドル高で取引を終え3日ぶりに反発しています。一方でS&P500株価指数が2ポイント安の3,818ポイントと3日続落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も3ポイント安の11,177ポイントとこちらも3日続落となりました。
2.経済指標等
1-3月期の米実質国内総生産（GDP）確定値は改定値から小幅に下方修正され年率換算で前期比1.6％減となり市場予想を下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアや生活必需品、コミュニケーション・サービスなどの6業種が上げました。一方でエネルギーや不動産、素材などの5業種が下げ、エネルギーは3％を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では投資判断の引き上げを受けてマクドナルド（MCD）が2％高となったほか、マイクロソフト（MSFT）とユナイテッドヘルス・グループ（UNH）、ホーム・デポ（HD）、アップル（AAPL）、ゴールドマン・サックス（GS）も1％以上上げました。一方でキャタピラー（CAT）が2％余り下げ、シェブロン（CVX）とアメリカン・エキスプレス（AXP）も2％近く下落しました。ハネウェル・インターナショナル（HON）とインテル（INTC）、ダウ（DOW）も1％以上下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、クルーズ船のカーニバル（CCL）が目標株価の引き下げを受けて14％余り下落しました。他のクルーズ船に売りが波及し、ロイヤル・カリビアン・クルーズ（RCL）が10％以上下げ、ノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス（NCLH）も9％を超える下落となっています。また、家庭雑貨小売りのベッド・バス・アンド・ビヨンド（BBBY）も決算で売上高と1株利益が市場予想を下回ったことで急落し23％以上下げています。さらに目標株価の引き下げを受けて半導体株が安く、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス（AMD）とマイクロン・テクノロジー（MU）が3％以上下げ、エヌビディア（NVDA）も3％近く下落しています。
5.為替・金利等
長期金利は0.08％低い3.09％となりました。ドル円は136円台半ばで推移しています。米連邦準備理事会（FRB）のパウエル議長がシンポジウムで高インフレの定着に危機感を示し、金融引き締めを継続する必要性を強調したことで一時137円台を付け1998年9月以来およそ24年ぶりの円安となる場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場が小幅に高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいことから軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が下げ渋り切り返すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。また、日本時間の10時30分に中国で6月の製造業と非製造業の購買担当者景気指数（PMI）が発表される予定で注目されます。
（マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之）
