もし10億円手にいれたら・・・妄想はつきません。
こつこつ切り詰めて貯蓄をしても、よほどの資金を元手にしている場合以外は10億円にはとても達しませんよね。だからこそ夢のある話なのです。
具体的には毎月積立ではどの程度の金額まで到達できるものなのでしょうか。10億円というとケタ違い過ぎますので、1桁下げて・・・といっても十二分に大金である1億円で考えてみましょう。
「誰でも確実に1億円」
「必ず1億円貯まる」
・・・怪しげなフレーズの広告をあちこちで見かけませんか?
でも実際には(年複利・非課税として)、
●毎月5万円を30年間積み立てて1億円(超)に達するには・・・
30年間年利9.80%を維持する必要があります。
●毎月5万円を現在の金利水準よりずっと高めの年利3.0%で運用できたとして、1億円(超)に達するには・・・60年2カ月間積立てる必要があります。
月々頑張っても5万円も積立に回せない、1万円ならばという人も多いでしょう。
●毎月1万円を30年間積み立てて1億円(超)に達するには・・・
30年間年利17.81%を維持する必要があります。
●毎月1万円を現在の金利水準よりずっと高めの年利3.0%で運用できたとして、1億円(超)に達するには・・・109年9カ月間積立てる必要があります。
「積立で誰でも1億円」、そんな簡単にいくわけがないことがわかりますよね。
株式投資だったらあっという間に元手が2倍、3倍になるのでは?などという考えは危険です!ある年だけ上手くいくことはあるかもしれませんが何十年間継続して年利10%近くなどという運用は通常は不可能でしょう。
注意すべきは平均年利率では考えないことです。
複利効果の怖いところは、プラスに複利になるだけではないということ。マイナス利率となればそれまで積み上げた元利合計もろともマイナスにもっていかれます。
プラスマイナスのブレ(=リスクの大きさ)が大きければ大きいほど、積立においては結果としてリターンを減らすことになりかねません。
年利10%といった高利回りは世界の金利水準から考えると貯蓄性商品では不可能で、つまりはリスクの高い株式やコモディティ、為替といった商品を活用しなければなしえない利回りです。
リスクの高い商品での運用では大きなプラス利回りへの期待と同時に大きなマイナス利回り=損失もあることを念頭に、偏ってリスクの大きい投資は失敗に結びつきやすいこと、だからこそ無茶な目標設定を行わないことが大切ですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員