モトリーフール米国本社 – 2022年6月26日 投稿記事より

主なポイント

・株価は最近暴落したが、事業は長期的な成長が大いに見込める
・ユニティのソフトウェアで制作されたゲームの数は、2021年93%増加
・ビデオゲーム業界の規模は、2027年には3,000億ドルに達する見通し

売上高は今後5年間で3倍になるとアナリストは予想

バリュエーションが高いソフトウェア銘柄は、この弱気相場で特に大きな打撃を受けています。ユニティ・ソフトウェアも最近暴落しましたが、その主な要因は市場全般への売り圧力と言えるでしょう。事業には年初から力強いモメンタムが認められましたが、5月の決算発表で示されたガイダンスへの失望感から、投資家にそっぽを向かれました。

最近、2名のアナリストがユニティ株の投資判断を引き下げ、ベンチマーク社のアナリストは「売り」としています。きっかけは第2四半期売上高に関するガイダンスの下方修正でした。これは、モバイルアプリ開発者向けの収益化ツール「Audience Pinpointer」に関連する問題が発生したことによるものです。修正後のガイダンスでは売上の伸びが第2四半期に6%~8%まで減速すると予想されていますが、これまで急成長してきただけに、投資家の想定を大きく下回っています。

しかし、ユニティ株は現在バーゲン状態で、これまでの成長軌道に間もなく戻ると考えられます。成長鈍化につながった問題は、自ら作った原因によるようです。経営陣も決算説明会でそれをほのめかしており、ジョン・リッチティエッロCEOは「問題は理解しており、解決へ大きく前進している」と述べています。

四半期業績ばかりに目を向けるのをやめると、事業の長期的な方向性や潜在的なリターンが、より鮮明に見えてくるはずです。

誤解を招く成長鈍化の見通し

成長見通しが引き下げられたことで、投資家はユニティのアフターコロナ・モメンタムに懸念を抱いているようです。ベンチマーク社のアナリストであるマイク・ヒッキー氏は投資判断を「売り」に引き下げましたが、その理由として、ゲームプレーヤーの今年のプレイ時間が、家にこもりがちだった2020年に比べて、少なくなることへの懸念を挙げています。しかし、長期投資家であれば、心配する必要はありません。ゲームは今なお成長産業であり、ユニティの事業はこれからも長年にわたってその恩恵を受け続けるはずです。

ユニティのソフトウェアと収益化サービスは幅広いビデオゲーム開発者に使われており、だからこそアナリストはゲーム業界のトレンドを注視しています。同社は2D・3Dコンテンツの制作ツールをゲーム開発者に提供しています。「クリエート・ソリューションズ」セグメントはこうしたソフトウェアツールの利用からサブスクリプション収入を得ていますが、ゲーム業界にとどまらず、航空宇宙、医療、建設などの業界でも勢いに乗りつつあります。

また、「オペレート・ソリューションズ」事業ではゲーム会社に各種サービスへのアクセスを提供し、ゲーム内のプレーヤーの収益化、更新コンテンツのリリース、事業の成長などを支えています。 

ゲーム業界は2020年の急激な伸びからペースを緩めたものの、ユニティは2021年も44%の増収を記録しました。クリエート・ソリューションズが41%、オペレート・ソリューションズは51%と、両事業ともに売上を大きく伸ばしました。

さらに、ユニティのツールで制作されたゲーム数は、昨年93%増加しました。おそらく最も重要なのは、ユニティのソフトウェアを使うクリエーターの数が31%増えたことです。これによって多数の新規顧客を獲得し、長期的にさらに上位のサービスを売り込めるようになりました。これこそ同社の成長戦略の中核です。

出所: ユニティ・ソフトウェア

ユニティは2022年第1四半期も好調を維持し、牽引役になったクリエート・ソリューションズ事業は前年同期比65%の増収率を達成しました。にもかかわらず、市場はそれよりも増収率が26%に低下したオペレート・ソリューションズ事業の減速を懸念しました。しかし、リッチティエッロCEOが決算説明会で説明したように、この減速は、モバイル広告ツールのひとつで起きた不具合も大きな要因になっていました。

何よりも重要な点として、リッチティエッロCEOは同社のサービス市場は「健全」だとしています。経営陣は、前四半期に発生した問題が2023年まで続くことはないとの見通しを示しています。

長期トレンドを加味すれば大いに買い

ユニティは体勢を立て直してこれまでの急成長を再開し、今後数年間続けていくことでしょう。サービス提供先であるゲーム業界の規模は、2027年には3,000億ドルに達する見込みです。ゲーム市場調査会社のNewzoo社の予測では、2022年に2,000億ドルを突破するとされています。

ほとんどのアナリストは、ユニティがぶつかった障害は一時的なものだとみています。コンセンサス予想によると、売上高は2026年には3倍以上になり、37億ドルに達する見通しです。これは、売上高を年30%前後のペースで増やしていくという同社の長期目標と一致しています。

そんなわけで、メタバースで新たな成長機会を見つける可能性もある、このソフトウェア銘柄の買い時として、今は完璧なタイミングと言えるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
元記事の筆者John Ballardはユニティ・ソフトウェアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はユニティ・ソフトウェアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。