東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて5日ぶりに反発しました。389円高の26,715円で寄り付いた日経平均は上げ幅を広げ10時10分過ぎに621円高の26,947円まで上昇した後伸び悩むと367円高の26,694円で前場を終えました。400円高の26,726円でスタートした後場の日経平均は一段と伸び悩み上げ幅をじりじりと縮めると結局105円高の26,431円で取引を終え安値引けとなっています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

塩野義製薬(4507)が一時4.4%高となりました。厚生労働省が開発中の新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」の承認可否を22日に開く専門部会で審議すると発表したことで新薬承認を期待した買いが入りました。イオンファンタジー(4343)も3.2%高となりました。人気動画チャンネルとコラボした限定景品やカプセルトイが売り上げをけん引したことなどで5月の既存店売上高が前年同月比45.2%増と高い伸びとなったことで買いを集めました。

また、岸田首相が7月前半から都道府県による観光割引キャンペーン「県民割」の対象となる旅行先を全国に広げると表明したことでエイチ・アイ・エス(9603)やエアトリ(6191)、オープンドア(3926)などが高く、エイチ・アイ・エスが一時7.9%高、エアトリが4.0%高、オープンドアも一時5.8%高となりました。

さらに投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われたのがソニーグループ(6758)やファーストリテイリング(9983)で、ソニーグループが一時2.9%高、ファーストリテイリングも一時5.0%高となりました。三井物産(8031)や東京海上ホールディングス(8766)も目標株価の引き上げを受けて買われ、三井物産が一時3.4%高、東京海上ホールディングスも一時2.9%高となっています。

一方で投資判断や目標株価の引き下げを受けて売られたのがイビデン(4062)やモバイルゲームを手掛けるKLab(3656)で、イビデンが目標株価の引き下げを受けて一時2.8%安となり、KLabも投資判断と目標株価の引き下げを受け5.2%安となっています。カカクコム(2371)も7.2%安となり年初来安値を更新しました。カカクコムがグルメサイト「食べログ」の基準を変更したことで評価点が下がり売り上げが減少したとして飲食チェーン店が損害賠償などを求めた訴訟の判決で東京地裁がチェーン店側の請求を認めたことから後場に入って下げ幅を広げました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は105円高となりました。米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の大幅な利上げを決めましたが、FOMC通過で金融政策に対する不透明感が後退し昨日の米国市場が大幅上昇となったことで買いが優勢となりました。また、昨日までの4日間で1,900円以上も下げていた反動もあり上げ幅を広げ一時は600円以上上昇しました。しかし、節目の27,000円を前に伸び悩み上げ幅を大きく縮めたことで一目均衡表の雲の上限(26,603円)だけでなく下限(26,510円)も引けで超えることができませんでした。そのため上値の重さが強く意識されそうで、こうしたなかで明日も買いが優勢となった場合には一目均衡表の雲を抜けて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や6月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の米住宅着工件数などが発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)