「やられたらやり返す、倍返しだ。」
今大人気のドラマの決め台詞です。
ご覧になっている方も多いのではないでしょうか?

主人公 半沢直樹の決め台詞にスカッとするというサラリーマン諸氏が多いと聞きます。一説にはこのリスクを恐れない前向きさが世相に反映し、今の株価を下支えしているとも・・・?

でも、ちょっと待ってください。
日曜日夜にドラマで気分が良くなるのはよいですが、くれぐれもその勢いで翌朝相場に向かわないでくださいね。

市場で取引するということは当然リスクがつきものですし、各自相応(ここがポイントです!)のリスクに立ち向かう必要があります。
ただし、負けた時(やられたら)に倍返し!と勢いで大きく相場を張るのは、投資の基本から言えば絶対にしてはいけないことの一つです。

「じぇじぇじぇ!」(こちらも人気ドラマから・・・)でしょうか?
そう言わずに、冷静になってみましょう。
確かに市場では「倍返し」と言う言葉はお馴染みです。チャートをご覧になっている方は、特に目にする機会もあることでしょう。でも、その波に上手く乗れる投資家は一握りに過ぎないのです。
底値で拾えて高値で売り抜ける...それができれば倍どころか10倍返し、いえいえ、大金持ちですよね。
株価が下支えされているということは、多くの投資家が下落局面で買っては損切りをして負けを繰り返しているということでもあります。
残念ながら、それより上値で売って買い戻すという方法で勝っている投資家は少数派でしょう。(とかく、株式投資で売りから入るのは多くの個人投資家にとってはハードルが高いものです。)
勇んで我が身、我が資産を投じてその下支えの一人になることはないですよね。
投資で負けると、取り返したい、いやどうにかプラスのリターンに持っていきたいというのは人の心理としては当然のことです。
その感情のままに倍のリスクを取る、焦っていつものスタンスや投資スタイルと違う方法を取る、ということをすると、判断が鈍ってしまう分、傷口を拡げることにつながりやすいのです。

投資の諺・格言にも、こうした場面を戒めるものは数多くあります。

「休むも相場」
「売り買いは3日待て」
「相場は明日もある」
「売るべし 買うべし 休むべし」などなど・・・。

投資は長く続けてこそ、リターンを積み上げていけるのです。
そのためにも、くれぐれも勢いや気分だけでは突き進まないよう、ご自身の投資スタイルを見失わないように気をつけてくださいね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員