世界一の即席めん消費量を誇る韓国、各メーカーは2021年から値上げへ

韓国の即席めんの市場規模は、2018年時点で約2,000億円に上ります。韓国国内における即席めんの1人当たり消費量は世界一で、1人当たり年間消費量は70食を超えると言われています。日本でも辛い韓国料理がブームですが、スーパーやコンビニでよく見かける“辛ラーメン”は、農心(ノンシム)という韓国企業の製品です。

即席めんの韓国国内市場シェアで約50%を占める農心は、韓国国内で2021年に値上げを実施しました。6~7%の値上げで、これは5年ぶりのことですが、原材料価格である小麦価格の高騰が値上げの要因でした。業界首位の農心の値上げに合わせて、業界第2位、3位の即席めんメーカーも、2021年同じ水準の値上げを行っています。

韓国からグローバル展開へ、北米市場でシェアを伸ばした要因とは

世界一即席めんを食べる韓国でも、やはり国内は成熟市場になってきています。そのため、各メーカーとも新製品開発でシェア争いをするものの、より大きく成長するためには、国外へ新たな市場を求める必要がある状況です。その点、特に農心は早くから積極的に海外市場に進出しており、既に海外売上高比率は、全体の約50%を占めるに至っています。

海外市場でも特にシェアを拡大しているのが、北米市場です。同社は北米に1990年代から進出していましたが、既に先んじて進出していた日本の即席めんメーカー、東洋水産や日清食品に市場を抑えられ、なかなかその牙城に食い込んでいくことができませんでした。

しかし、直近2年で農心の海外事業の売上高は約40%拡大し、急速に北米での市場シェアを拡大し始めました。これまで韓国の辛い即席めんを食べてこなかった米国人が、コロナ禍のステイホームで、スーパーで辛ラーメンを手に取って食べだしたのがきっかけとも言われています。

実際に食べてみたら、辛い物が好きな人にとっては大変美味しく、また癖になる味であることから、日常生活のマストアイテムになったのではないでしょうか。

またここ数年、Netflixなどの動画配信サービスにより、韓流コンテンツが米国でも数多く配信されるようになりました。ドラマや映画の中では、韓国で日常生活になっている即席めんを美味しそうに食べるシーンを普通に目にしますので、それが米国人の辛ラーメンを手に取るきっかけになったとも言われています。

【図表】農心(ノンシム)の北米(米国、カナダ)の売上高推移
出所:農心(ノンシム)社アニュアルレポートよりスパークス作成

韓国企業が海外で躍進する、その強みとは

値上げで販売単価を引き上げることができるのは、製品の品質の高さやブランド力の裏付けであり、また米国に進出できたのは、海外マーケティングの能力の高さであると言えます。

製品の質の高さといえば、メイド・イン・ジャパンと言われるように、かつては長い間日本企業が得意とするところしたが、近年では隣国の韓国企業も各製品において品質の高さを備えており、日本企業の脅威となっています。

また人口が日本の約半分である韓国では、製品開発の段階から海外市場を見据えているため、海外進出を実行に移す能力は、日本企業を凌いでいるかもしれません。今後も、韓国企業の世界での活躍に注目したいところです。

 

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