登山客で賑わう富士山も専門家によれば噴火のリスクが高まっているとのこと。私たちの生活は常にこうしたリスクと直面しているという現実を改めて認識する必要がありますね。
災害被害の備えと言えば、防災グッズの常備や保険加入などいろいろとありますが、いざ被災した場合、その規模によっては、ライフプランそのものを見直す必要がある場合もあります。
そうした時に頼りになるのは貯蓄を含む金融資産の有無です。
資産の中で、不動産については節税対策等には向きますが、急な資金化には対応しにくく、また、資産そのものが被災するリスクもあります。
手元の資産の種類を極端に偏らせないことはこうした面から考えても大切ですね。
ここ半年は波の大小はあるものの、アベノミクス効果で個人のお財布事情を含めて景気拡大のニュースが続いています。
消費が活発になることは景気回復で最も重要なことですし、このトレンドは大歓迎なのですが、一方で平均年収そのものは20年に渡って減少してきています。
金融資産の平均値(2人以上で暮らす家庭)は1108万円(「家計の金融行動に関する世論調査」2012年)とのことですが、高齢世帯の高い貯蓄額で平均値が上がっているに過ぎず、お金のかかる現役世代、30~50代では全体の30%弱が貯蓄ゼロというのが現実です。ちなみに平均貯蓄額の中央値は450万円とのこと。
いざというときの安心のためにもある程度の金融資産は保有したいものですが先立つお金がなければ投資に回して増やすこともできません。まずは手元のお金を貯めることも「災害への備え」の一つだということですね。
投資についてはリスクコントロールをしてコツコツ投資をすべきというお話を何度も書いてきましたが、その軍資金ともなるお金作りもやはりコツコツと積み上げて行くことが大切です。
急がば回れと言いますが、一気にお金持ちになろう、一山当てよう、とリスクを取ることは失敗に終わることが多いものです。
収入の10~20%を貯蓄に回すことが無理のない貯蓄の第一歩と言いますが、どうすればよいのでしょう。
お金の使い方を検証し、お金の出入りを把握、無駄を省くこと、そして収入に対して余ったお金を貯蓄するのではなく、先に貯蓄分を天引きした残りでやりくりすること。基本的ですが大切なポイントです。
天引きしたお金をただ普通預金にしてもお金は増えませんから、比較的安全性の高い投資信託の積み立てなども活用することで、投資活動を並行することで利回りアップを目指しましょう。
また新しいNISAのような制度も活用することで、余計に税金を払うことなく投資できるような環境を整えておくことも大切ですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員