今年のはじめ、アベノミクス景気とバブル期初期との類似性について、様々なメディアで取り上げられていたことをご記憶にある方もいることでしょう。
安倍政権が成立する直前から一直線に上昇した株価は、確かにバブル初期の1986年当時のチャートによく似ているとも言えます。

今年第一四半期においては、上記のような話は日本株投資に関わっている投資家とその周辺の人しか実感していなかったかもしれません。
それから半年近く経ち、夏のボーナス金額が上昇、夏のセールの好調、飲食店の好調等々、一般の人々にもその浮揚感が拡がってきたようです。

おりしも、ファッションの世界でもバブル期に人気を博したモノが最注目されているとのこと。以下、左が当時、右がリバイバル(女性ファッションとして)です。
セカンドバッグ(当時は男性に人気) ⇒ クラッチバッグ
石田純一風(?)の肩掛けセーター(こちらも当時は男性のファッション) ⇒ プロデューサー巻き
ボディコン ⇒ ミニのタイトスカート
アニマルプリント ⇒ アニマル・花柄などの柄もの

景気もファッションも循環するものですから、約20年というサイクルがその循環に当たっているだけのことかもしれませんし、いずれも人の「気(分)」からくるものですから、景気の上昇・浮遊感と80年代当時の「イケイケ」なファッションが連動するのかもしれません。

でも、今のアベノミクス景気、本当にバブル初期に類似しているのでしょうか?
・バブル期の要因
「プラザ合意」後の急激な円高 ⇒ 金融緩和(利下げ) ⇒ 株価上昇

・アベノミクスの要因
デフレ対策におけるアナウンスメント効果・・・円高修正(円安誘導) ⇒ 株価上昇 ⇒ 金融緩和策(量的緩和)

株価上昇という点以外は、類似というより経済背景の違いが目立ちませんか。共通項は、この後に来る大きな調整局面がいずれも外的(海外)要因であるということ。
87年当時のブラック・マンデー、今回は米国の金融緩和出口戦略とそれに関係する世界経済の動きです。

20年前とは世界経済も大きく様変わりしていますので、株価チャートの形だけ見て単純に比較することは難しいでしょう。
これまでも書いてきたように急騰には調整として急落がつきものですし、「気」が理由なき熱狂を生むことは古今東西で繰り返し行われてきたことです。

投資は冷静に・・・。と、言葉にするのは簡単ですが、心情コントロールは最も難しいとも言えます。その部分は投資ツールに頼って、注文の工夫等をすることで自身の心理に負けないようにしたいですね。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員