東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて6日ぶりに反落となりました。250円安の27,996円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分で202円安の28,044円まで持ち直しましたが、節目の28,000円を上回ったところでは上値が重く下げ幅を広げると10時20分過ぎに441円安の27,805円まで下落し397円安の27,848円で前場を終えました。341円安の27,904円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げ14時10分に451円安の27,795円まで下落するとその後も安値圏で推移し結局422円安の27,824円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
積水ハウス(1928)が3.0%高となりました。国内で主力の戸建て住宅事業や賃貸住宅事業が堅調だったことや、海外事業の売上高が大きく伸びたこともあり第1四半期の営業利益が前年同期比で60.5%増と大幅な増益となったことを好感した買いが入りました。太平洋セメント(5233)も6.8%高となりました。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて石炭価格が急騰するなか製造時の燃料に使う石炭の市況変動をセメント価格に反映するサーチャージ制を導入すると伝わったことで収益の改善を期待した買いが入りました。住友大阪セメント(5232)も連れ高となり6.0%高となっています。ラウンドワン(4680)も一時10.2%高となり年初来高値を更新しました。クレーンゲームの設置台数が多い店舗のリニューアルでアミューズメントの売り上げが伸びたことなどで5月の既存店売上高が前年同月比で1.3%増となり、4月の9.3%減からプラスに転じたことで買いを集めました。物語コーポレーション(3097)も主力の焼き肉部門やラーメン部門がけん引し5月の既存店売上高が前年同月比38.2%増となったことで3.1%高となっています。
また、政府が1日あたりの入国者数上限を現行の2万人からさらに引き上げる方向で検討すると伝わったことからインバウンド需要の回復を期待した買いが入り百貨店株が堅調で、三越伊勢丹ホールディングス(3099)が一時3.2%高となったほか、J.フロント リテイリング(3086)も一時2.1%高となりました。インバウンド需要の回復を期待した買いでホテルやリゾート施設を運営する藤田観光(9722)も7.9%高となり年初来高値を更新しています。
一方でアパレル大手のTSIホールディングス(3608)が3.6%安となりました。5月の既存店売上高が前年同月比2.2%増に止まり4月の同12.6%増から伸びが鈍ったことが嫌気されました。本決算を発表した総菜大手のロック・フィールド(2910)も4.7%安となりました。人件費の増加などから2023年4月期の営業利益が前期比で3.5%減となる見通しを発表したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は422円安となりました。欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めを警戒した売りが出て昨日の米国市場が大幅続落となったことで売りが優勢となりました。昨日は伸び悩んだことで3月の戻り高値(28,252円)を引けで上回ることができなかったうえ、本日は下げ幅を広げ節目の28,000円や200日移動平均線(27,943円)を割り込んでしまいました。さらに本日は3ヶ月に一度のメジャーSQでしたが、SQ値が28,122円となり上の幻のSQとなってしまいました。こうしたなか来週は週後半に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えていることもあり一旦は上値が重くなる可能性もありそうです。
なお、日本時間の21時30分には5月の米消費者物価指数(CPI)が発表となります。金融引き締めに対する警戒感が強まるなか今後の金融政策を占ううえで重要な経済指標なだけにマーケットの反応が注目されます。また、23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値の発表も予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)