先週に続き、住宅ローンの借り換えや繰上げ返済について書きたいと思います。
まず繰上げ返済ですが、これは借入元本を減らすことになるので、金利負担の総額を軽減できます。借入期間の短縮を行う期間短縮型と月々の返済額を減らす返済額軽減型の2種類がありますが、全体の支払金額軽減(利息分軽減)の効果は期間短縮型の方に大きく軍配が上がります。
ただ期間短縮型では月々の負担金額に変化はないので、現在のキャッシュフローの改善を求める場合は返済軽減型となりますね。

いずれにせよ、手元資金を借金の返済に回すことは何かあったときに使えるお金が少なくなることを意味します。
いざと言う時にお金がなくて別途ローンを組むなどということにでもなれば・・・かえって負担増になり、生活を圧迫する「繰上げ貧乏」になってしまいます。

ちなみに繰上げ返済は返済残期間が長いほど、つまり早く行うほどより効果が高いものです。
また、各金融機関により、金額やネット使用の限定などにより手数料がかからないことも増えていますが、手数料がかかる場合、その負担がどの程度なのか、軽減メリットと比較して検討することが大切です。

繰上げ返済する手元資金はないものの、長期金利の行方次第で自身の金利負担が増えることを懸念している方は借り換えの方を検討されていることでしょう。

まず、一般に言われる借り換えをしてメリットが出るのは「金利差が1%以上」「残期間が10年以上」「返済残高が1,000万円以上」というものです。この真偽は後述するとして、これは借り換えのコスト等が関係します。

繰上げ返済と異なり、借り換えは新たに住宅ローンを設定し、これまでのローンを完済すること。つまり新規住宅ローンの設定と同様に下記のような諸費用がかかることになります。

・印紙税

・事務手数料等

・保証料 (→保証料なしの金融機関もあり)

・登記関連費用(抵当権設定費用、司法書士報酬等)

<これまでの住宅ローンを完済するための費用>

・繰上返済手数料 (→前述通り金融機関によって異なる)

・抵当権抹消費用

将来の長期金利の上昇の心配から変動型⇒固定型と借り換える場合、単純に金利水準を比較すれば現時点では変動型<固定型であり、つまりはこれだけのコストをかけて、より高い金利負担への変更をすることになります。
もちろん、この先、ローン金利が上昇し、変更しておいて良かった!と思える可能性も十分にありますが、それまでは負担増ということですね。

先のメリットが出るための3条件ですが、様々なシミュレーションを見る限り、条件を満たさなくともメリットが出ることは多いようです。
住宅ローン設定の保証料をとらない、繰上げ返済の手数料が無料といった金融機関が増えていることから手数料全体が安くなっていることが背景にあるようです。

メリットとコスト、将来的なキャッシュフローなどを十分に考え合わせた上でローンの組み換えは行うようにしたいですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員