その一方で、債券相場にも大きな変化が見えていますね。
機関投資家などの巨額の資金が安全資産と言われる債券からリスク資産である株式にシフトしています。国債(長期)が売られる、つまりは長期金利が急上昇するということ。
日銀はインフレ目標を掲げており、将来的な金利上昇は当然あるべきなのですが、そもそも「異次元の金融緩和」というほど資金を市場に大量供給する政策を行っている現在、効果が出るまでは「超低金利」が継続する前提です。
予想外に急ピッチで長期金利が上昇すると、私たちの実生活に景気回復の実感が十分に行きわたる前に悪影響が出る懸念が出ており、市場も警戒感を強めてきています。
その一つが住宅ローン金利です。
住宅ローン金利のうち長期固定型金利は主に新発10年国債(長期国債)の利回りを指標として、各金融機関が市場動向を見ながら思惑・方針などに則って決めています。
変動型金利は短期プライムレートを基準に半年に一度、それに連動するように決められることが一般的で、政策金利の動きに影響されやすいものです。(政策金利変更に伴い変更される)
今後景気回復していけば、当然政策金利の上昇も期待されるわけですから、もちろん変動型のローン金利も徐々に上昇することが予想されます。
国債の金利上昇が急ピッチとなれば、それより先に固定型のローン金利の方が変動型より先に上昇してくることもあります。
これまで超低金利が続くという見込みから、金利水準の低い変動金利型を選ぶ人も多かったと思いますが、今後の上昇を見越して固定金利型を選択する方も増えてきているようです。
すでに変動金利型で住宅ローンを組んでいる方には将来の金利上昇の不安から「借り換え」や「繰り上げ返済」等で金利負担を軽くする方法を検討している方も多いのではないでしょうか。
借入金利を変更することで負担軽減を目指す借り換えも、借入元本を減らすことで支払合計利息を減らす繰上げ返済も、どちらも負担を減らす効果はありますが、気をつけなければならない落とし穴もあります。
住宅ローンは今後も長く、深く生活に関わるものだけに、様々な条件を踏まえ、十分に考慮した上で決めていきたいものです。
次週、住宅ローンの組み換えのメリット、デメリット、見直しのポイントなどについてまとめていきますね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員