米ドル/円 日足 

週間予想レンジ:126.50~130.50

メインストラテジー:押し目買い

・調整波はそろそろ終焉
・強気構造へ復帰開始
・材料次第では高値追いも

【図表1】米ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続落し、連続3週間の陰線引けとなった。ただし、値幅が引き続き限定的であり、また週足では「9連陽」が5月第1週まで続いたため、健全な調整の範囲内、といった位置付けは不変であり、従来の見方を維持し、新しい解釈は不要だと思う。むしろ高値圏での保ち合い自体が次の上昇の土台になりやすいため、目先の反落がこれからの上昇波を健全化させる側面は無視できない。

もっとも、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後、米大幅利上げはマーケットの想定通りであり、またインフレの高騰も市場の織り込み済みなので、米株続落を受けた円買いが非常に限定だった。この視点において、主要クロス円との違いを強調しておく必要がある。なにしろ、米ドル自体はリスクオフの流れで大きく買われ、主要外貨対米ドルの急落につられた形で主要クロス円の大幅調整をもたらしたが、米ドル/円への影響は、先週の続落があっても限定的であった。言い換えれば、強気構造の維持や継続、リスクオフの試練を受けた上、すでに証明された以上、調整波の深押しを期待すべきではなかったことも繰り返し解説してきた通りであり、内部構造の強さを証明している。

従って、従来の見方の維持で、連続3週間の続落があっても実に「新味なし」。2015年高値のブレイクを果たした時点で、2011年安値(米ドル最安値)を起点とした大型上昇波の延長を決定したため、雄大なトレンドの一段継続が示唆されており、調整波の先行があっても高値圏での変動を維持でき、これからの上昇波を強めていく側面が大きいだろう。

もっとも、4月第1週の陽線引けは、3月最終週の値幅のなかで「孕まれる」形で「インサイド」を形成していたため、その後の高値更新は同サインの上放れを意味し、強気サインとしてさらなる上昇余地を示したわけで、4月末までの続伸は当然の結果とみている。5月第1週も陽線引けであったが、高値更新できなかったため、5月第2週からの陰線引けがあっても調整波の一環としてむしろ自然な成り行きとみている。

リスク回避先として、円の地位消失や日米金利差など要素はすでに繰り返し解説してきた。このような基礎的な要素以外に、米ドル全面高に日銀の緩和政策継続が大きな構造上の要因となる。コロナショック時の高値更新を果たした米ドル指数の値動きでみれば一目瞭然であり、言ってみれば従来の円安という側面以上に、米国の22年ぶりの大幅利上げで米ドル高の側面がより大きい。後者に関しては、4月末に日銀の金利上昇抑制姿勢が再度確認する形で、3月末と同じ構図で円売りの安心感につながったわけで、米ドル/円の下限を限定する役割を果たしている。

3月28日に日銀の連続指値オペがあって、円安がさらに加速され、一時125.11円をトライし、2015年高値の125.86円を迫った。従って、4月末の日銀スタンスの再確認で円売りの安心感が再度強まり、また米ドル全面高における米ドル買い、またリスク回避先として米ドルが選好された側面もあったからこそ、5月初頭まで連騰したわけだ。米大幅利上げ観測の高まりで円安恐怖さえ引き起こしたわけだが、円ロング筋の総踏み上げといった内部構造と別の構造上の要素も浮上してきただけに、しばらくは上値限界を値ごろ感では判断できない。連続3週間の反落があっても、総じて強い構造を維持できる公算が大きい。

日足では、4月20日~25日の罫線が「インサイド」のサインを形成し、4月26日に一旦下放れを果たした。しかし、下値トライが続かず、4月19日大陽線の安値(126.96円)前後にて反騰し、4月27日の大陽線自体が「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したからこそ、4月28日のさらなる続伸や高値更新に繋がったわけで、4月29日の反落があっても、あくまで強気変動におけるスピード調整とみなした。早期終値をもって127円関門に下らない限り、強い構造を維持し、安易な頭打ちを判断できない。だからこそ、4月27日の反発に続き、4月28日の大幅上昇で一旦高値を更新した。

5月9日の高値トライは、一旦失敗した形で5月12日の大幅続落につながり、その後の保ち合い、即ち「インサイド」のサインの形成や下放れで一段と調整波の延長が確認された。ただし、それでも前述の予想範囲内に留まり、スピード調整としての位置付けは不変である。一時期127円関門割れがあっても、切り返してくれば、高値圏での変動の一環としてやや波乱した値動きがあっても許容範囲内である。5月24日の一旦終値をもって127円関門を下回ったものの、その後下放れせず、保ち合いを保っていること自体、むしろ底堅さが再度証明されたとみている。

そのため、これから再度高値トライにつながりやすいだろう。5月9日の罫線を、「フォールス・ブレイクアウト」の意味合いがあったとみなすなら、これからの高値トライやブレイクをもって一転して上昇波を加速させる存在になるため、上値トライがあれば、引き続き上昇波に便乗するタイミングとみている。日足における「インサイド」のサインは、直近連続した形で3つほど点灯しているが、上放れの場合はメイン基調へ復帰する節目となり、また確認のサインとして利用できると思う。材料次第では、一気に高値追いの展開にもなり得るため、強気スタンスを維持していきたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:91.00~94.50

メインストラテジー:押し目買い

・底堅いことは証明済み
・上放れのタイミング
・豪ドルの優位性を確認

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週小幅続伸した。先々週の保ち合いにより、メインシナリオを証明する存在となったからこそ、先週の続伸を当然の成り行きとみなし、またブル基調へ復帰する始まりと位置付ける。というのも、5月第2週に大幅続落し、一旦87円前半をトライ、調整波のさらなる進行を果たしたことによって、そこから続落せず、調整の行き過ぎと暗示したわけで、メイン基調をより鮮明化させたからだ。この意味合いにおいて、従来の見方、即ち豪ドル相場がすでに調整済みであり、調整波自体の「行き過ぎ」という見方が証明されたとみている。

一旦調整の継続を警戒していただけに、調整波自体はサプライズではない。4月20日に一旦高値更新し、95.77円をトライしてから反落、また93.05円にて大引けし、同週の週足では典型的な「スパイクハイ」のサインを点灯した。このようなサインに鑑み、一旦頭打ち、また調整の可能性が大きかったため、調整波の大型化、また5月第2週まで延びること自体、許容範囲から大きく離脱していなかったと言える。そのため、先週の続伸で地合いがすでに再度確認され、ブル基調への復帰はこれからであろう。

4月第3週の足型が弱気のサインと解釈した原因の1つは同週の「スパイクハイ」の足型のみではなく、3月28日から3週間に渡って形成された「インサイド」のサインが同週にて一旦上放れしたにもかかわらず、その後反落や陰線引けとなり、「ダマシ」のサインとして警戒されたことだ。この意味合いにおいて、5月第2週の大幅続落は、同サインの効き目を証明した反面、「出尽くし」も暗示されたわけで、小幅な切り返しでも調整波の終焉を示唆する存在となった。

3月末大幅続伸は、4月初頭まで連続9週間の上昇を果たし、94円関門のトライも大きな成果であった。その後の反落は、90円後半に留まった上、91円後半にて大引けしたことで小幅調整の完成を暗示し、また急騰したからこそ強気基調の維持に繋がった。3月28日に日銀のオペを受けた円の一段急落は、「行き過ぎ」を示したものの、その後あくまでスピード調整の先行となり、頭打ちを認識できるまで程遠かったため、3月末から4月半ばまでの陽線引け自体が証拠となったわけである。

従って、4月第3週の高値更新は、本来「インサイド」の上放れとなり、さらなる上昇モメンタムの加速や上昇余地の拡大に繋がるはずだったが、一転して反落、週足では陰線で大引けし、日足では4月19日~22日までの罫線で、「宵明星」のサインとなった。また、3月末から形成されてきた「上昇トライアングル」の上放れも「ダマシ」と化した可能性を示唆した。深押しに繋がってもおかしくなかったが、結果的に想定内の変動となり、今後の再度底割れのリスクが大分後退したと言える。

調整波自体の位置付けは繰り返し解説してきた通りであり、ブル基調自体の否定に程遠いことも繰り返し解説してきた。商品通貨としての豪ドルの強さ、米ドル全面高の流れの中で、対米ドルでは遜色があっても、対円では優位性が消失するとは考えられない。主要外貨のうち、米ドル全面高の一服があれば、豪ドル対米ドルもリバウンドしやすいと思われるため、先週豪ドル/米ドルの値動きがその兆しを示したと言える。そのため、対円の強気構造をなお維持していく公算が大きい。

日足では、4月20日から大型ジグザグ変動の構造を示し、4月26日から一旦切り返し、5月5日に94円関門のトライがあったが、結果的に同日にて反落、「弱気リバーサル」のサインに近いシグナルを点灯した。そのため、その後の急落、また5月11日の「スパイクハイ」のサインもあって、5月12日の大陰線を形成させた。しかし、深押しの進行がすでに確認された以上、5月12日と13日の罫線で示した「インサイド」のサインは、再度下放れの可能性が低下し、これから上放れを果たして今週の基調を改善していくはずだった。ところが、実際には一旦上放れを果たしたわけで、先週の堅調もあって、これから本格的な上放れを果たすだろう。

5月の豪利上げに関する反応は、米大幅利上げや米株の波乱に「流される」形で豪ドルを押し上げる効果が限定的だったことも先々週の大幅続落をもたらしたとみている。しかし、予想以上の利上げ幅や利上げ継続の中銀スタンスに鑑み、これから継続的に豪ドルの下値を支え、基調の好転に繋がるという基本的な考えは変わらない。先週米株の大幅切り返しもあって、豪ドルにとって上値を追う環境にある。

90円心理大台に乗せて以来、豪ドル/円は事実上新たな変動範囲に入り、4月にて95円後半までの打診がその前触れとみなされ、同週の「ダマシ」のサインがあってもなお途中経過とみている。より長い視点において、90円心理関門を下回らない限り、遅かれ早かれ96~98円といった従来の上値ターゲットに照準を当てたと推測している。試練があるからこそ、達成する現実味が増すのである。