黒田日銀総裁は世界の舞台、G20をも笑顔で乗り切りましたね。
異次元緩和に対する円安誘導批判を回避し、理解を得られたわけですから、躊躇することなく緩和策を続けることになるでしょう。

ますますの円安⇒株高への期待はありますが、相手は相場です。右肩上がりばかりとは限りません。先日も書きましたが、ただでさえ急ピッチで展開してきた相場ですから、今後も調整、反落、もみ合い等々繰り返していくでしょうし、そのピッチも不安定で早いものが想像されます。

さて、そんな市場の動きを前に様々な投資家の気持ちが渦巻いています。「投資に乗り遅れてる・・・?」と焦っている向きも多いのではないでしょうか。
短いスパンの動きだけを見て、そのちょっと下値に買い注文を入れ、「ついた」「つかない」と一喜一憂している方、いらっしゃいますよね。

塩漬け状態だった持ち株・投資信託の評価額がプラス評価に戻り、ほくそ笑んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし先日、ふと知人がもらしました。
「持ち値が上がって喜んでいたけど、利益確定しなければ絵に描いた餅・・・」
はい、その通りです。
今日は既に皆さまにはお馴染みの、でも最も苦手でもあるだろう「利食い」と「損切り」についてです。
前述の「乗り遅れた・・・」と感じている投資家の方も、実はこの「利食い」「損切り」の感覚次第で焦りはなくなると思うのです。

「利食い」は「利を食う」、つまり利益を確定すること。買った値段より高く売る、売った値段より安く買い戻す、という行動によって利益を生み出します。
「損切り」は「損を切り捨てる」、上記とは逆に損失を確定することで、できれば避けたい行動・・・でしょうか。

でも投資行動するときは、「いくら儲かったら利食う」「いくら損失が出たら損切り」と
必ずセットで考えておくことが大切なのです。
人間は欲深ですから、想定利益が増えれば増えるほど「まだまだいけるのでは?」と期待し、想定損失が膨らめば「いや、きっともう少し待てば戻るはず」と信じたくなるものです。

早く投資を始めて儲かった人の話を聞いて焦るのも、保有資産を利益確定できずにいるのも、全てそうした人間の心理がベースにあるから。

まず、目前の不安定で動きが早い相場は、リスクは高いけれどそれだけチャンスがたくさんあるということを再認識しましょう。
一昔前と異なり、FX投資だけではなく、株式投資でも下げ相場で利益を得られる方法がいくつもあるのですから、上昇に乗ることだけが全てではありません。
少し長いスパンで相場を捉えることで、チャートの形も変わって見えてくるはずです。

じっと我慢して保有していた資産が値上がりしてきているのであれば、ひとまずの利食いを考えましょう。まだ上がるかも・・・と思うかもしれませんが、良い銘柄だと思えば下がったときにまた買えばよいのです。

焦らず基本に戻ることが、結果としてプラスになると思います。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員