先週末の米株式市場でダウ平均は6日続伸し、週間では1,951ドル高と9週ぶりに上昇した。その前の週まで8週連続で下落し90年ぶりの連続下落記録となっていた。その間の下げ幅は約3,600ドルにも達していたが、先週の反発で下げ幅の半分以上を取り戻した格好だ。

歴史的な連続下落記録を回避したことで、市場には安心感が台頭している。米国株には底入れ機運が出ている一方、日本株の上値は重い。米国株が8週連続安となるなかでも、相対的に底堅さを保ってきただけに、米国株の底打ち反転が、日本株の買いにつながらないのも無理はない。

日本株は、決算発表も一巡し、材料難から買い手不在の状況である。あまり合理的な根拠はないが、実質月替わりとなる今週に相場の潮目が変わることを期待したい。6月は3月期末配当が投資家に払い込まれる月だ。再投資で需給が締まる。6月相場入りを機に上値を試しに行く可能性はある。なにしろ相場の最大の重石であり続けた「インフレ加速~FEDの引き締め強化」という懸念は後退しているのだから。

先週末に発表された4月の米個人消費支出(PCE)物価指数(コア指数)の伸びは2カ月連続で縮小した。FRB高官の発言も直近ではハト派的なものが目立つ。

今年前半、相場の重石だった「インフレ加速~FEDの引き締めペースの強化」というファクターは、今年の後半には「インフレ鈍化~FEDの引き締めペースの緩和」へと正反対に変わる公算が見えてきた。この6月に、市場のマジョリティがその見方に傾けば、一気に転機を迎えるだろう。

今週は月末月初に当たり重要指標の発表が目白押しだ。31日に日本の4月鉱工業生産、中国5月製造業PMI、米3月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米5月消費者信頼感指数、6月1日に1-3月期法人企業統計、中国5月財新製造業PMI、米5月ISM製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2日に米5月ADP全米雇用リポート、3日に米5月雇用統計、米5月ISM非製造業指数などが発表される。

中でも注目は6月3日発表の米国の雇用統計だ。市場予想では非農業部門雇用者数が前月比32.9万人の増加、失業率は3.5%、平均時給は前年比5.2%上昇の見通しだ。非農業部門雇用者数の伸びは4月から鈍化する見込みだが、失業率も低下が予想されている。カギは平均時給の伸び率か。強めの数字となった場合、若干後退しているインフレ懸念再燃につながる。重要な雇用統計の発表を控えて動きにくい週となりそうだ。