※先週の黒田ショックについてのコラム内で、黒田総裁による発表時の相場の反応として冒頭に記載しました数値は前週末(4月5日)の終値ベースのものです。コラムが配信された週明け(4月8日)の相場はその時よりもはるかに上昇し、強い反応が続きました。記載数値に違和感を覚えた方がいらっしゃったかもしれません。失礼いたしました。

アベノミクスの実体経済への浸透を実感させる数値が出始めましたね。
景気浮揚感については様々なメディアにも取り上げられています。

長く「冬の時代」と言われていた百貨店業界から、久々に明るい、業績回復のニュースが注目されています。
高級時計や宝飾品、高級家具などに堅調な動きが見えているとのこと。
バブル期を彷彿させるようなニュースです。

多くの百貨店のフロア構成でよく見られるのが、最上階にレストラン、その1~2階下に時計、宝飾品、美術品、呉服などの高額品のフロアがあり、男性、女性の服飾売り場などが続き、1階は化粧品や靴、そして地下にいわゆる「デパ地下」と呼ばれる食料品売り場があるタイプです。

今回ニュースになっているのは上階にある高額品フロアでの動きが活発化しているということ。一般の人が立ち寄りやすい中間層フロアや最も人が集まりやすいとされる「デパ地下」での消費状況はというと、あるテレビ番組の取材によれば、実はそれほど大きく目立って回復、上昇しているわけではないということです。
また、同番組の取材によれば街の商店街などでも消費状況にそれほど変化はないと紹介していました。

アベノミクスと聞いても「ピンと来ない」「実感が伴わない」という方はまだまだたくさんいます。春闘で満額回答を得たと言っても、まだ実際に懐に入ってきたわけではないのですから当然と言えば当然かもしれません。

では、なぜ高額品は売れるのか・・・。
その番組では説明として、「景気浮揚感による心理的な後押し」「消費税が上がる前の駆け込み需要」などを挙げていました。
個人的には何よりも大きな理由は、「円安、株価上昇によって一部個人投資家の懐が豊かになったこと」だと思います。
春闘等の結果に関わらず、すでに大きな利益を得た投資家はいるわけですし、持ち株等の資産価値の拡大も心理的余裕を生んでいます。

百貨店の高額品フロアで高額商品を買う余裕のある人と、景気浮揚感を実感することなく、円安による輸入物価上昇におびえる人の二極化は、「投資家か否か」によって拡大していると言えそうですね。

急激に上昇した相場は早く、不安定な動きを見せることも多いので、十分な注意が必要ですが、出遅れ銘柄や調整下落のタイミングなどチャンスはまだまだあります。
今後ますます二極化が進んだ時に「余裕のある人」の方になっているためには、臆せず投資を始めることがまず第一歩です。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員