本日から新年度に入りました。早いものですね。
この4月から変更になる制度の一つに、厚生年金の男性の支給開始年齢が60歳から61歳に引き上げられるというものがあります。

「あ~、自分は61歳から年金が受け取れるんだ」と30~40代の会社員の方まで思ってしまうのは、大きな間違いですので気をつけてください。
今後、5年後には男性が62歳、女性が61歳に引き上げられ、以降男女ともに生年月日別に段階的に引き上げられていきます。男性では昭和36年4月2日生まれ以降の方、女性では昭和41年4月2日生まれ以降の方は65歳になるまで「老齢年金」は受け取れなくなります。

ここで年金制度について確認しておきましょう。
会社員や公務員、船員などが入っているのが厚生(共済)年金、農業、自営業者、学生等が入っているのが国民年金ですよね。

厚生年金制度というのは2階建ての構造となっており、その1階部分(=定額部分)は基礎年金、すなわち国民年金で、厚生(共済)年金加入者は自動的に国民年金に加入していることとなります。

国民年金制度で老後に支給する「老齢基礎年金」の支給開始年齢は、既に65歳です。厚生年金加入者の老齢年金が「全額」支給されるのも65歳からで、これまで60歳から支給されて、今回引き上げが開始されたのは厚生年金制度の2階部分(=報酬比例部分)のことなのです。
ちなみに65歳より前に支給されている定額部分および報酬比例部分を合わせて「特別支給の老齢厚生年金」と呼んでいます。

これまでにご自分がいつからどれくらいの(老齢)年金を受け取れるのか、と興味をもって確認されていた方も多いかもしれません。
その際、老後のマネープランで最も不安に思われることの一つが、定年後から年金受給開始までの収入ゼロという空白期間であったと思います。

ところが、実際厚生年金の支給開始年齢の引き上げが始まるとなると、それに伴って、企業に対し65歳までの雇用を義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」も本日4月1日をもって施行されることとなりました。

空白期間がなくなる、良かった・・・と単純には喜べないかもしれません。アベノミクスで上向きに見える企業も総人件費はそう簡単には上げられませんから、当然のことながら60歳以上はそれまでの賃金の大幅減少、若手現役世代の賃金は頭打ちとなることが予想されます。

今後の収入曲線は予定より低くなるかもしれませんし、現時点でも維持が大変な年金制度はいつまた変更される(支給開始年齢が65歳より上になる?)とも限りません。

新年度を機会に自身のマネープラン、投資プランを見直すようにしてみてはいかがでしょうか?

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員