東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて4日続伸となりました。167円高の26,826円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで393円高の27,053円まで上昇しましたが、節目の27,000円を上回ったところでは上値が重く伸び悩むと10時50分前に81円高の26,741円まで上げ幅を縮めました。しかし、前引けにかけて持ち直すと191円高の26,851円で前場を終えました。175円高の26,835円でスタートした後場の日経平均は12時40分に121円高の26,781円まで上げ幅を縮めた後持ち直すと251円高の26,911円と後場の高値で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

ルネサスエレクトロニクス(6723)が3.7%高となりました。電気自動車向けの需要が急増するなか電力制御に使うパワー半導体の増産に約900億円を投じ生産能力を2倍に引き上げると伝わったことで収益の拡大を期待した買いが入りました。エムスリー(2413)も一時4.9%高となりました。米フロリダ州で治験施設を運営する米マルチスペシャルティー・リサーチ・アソシエイツを米国法人を通じて買収したと発表したことが材料視されました。豊田自動織機(6201)も一時4.2%高となりました。エンジン認証を取得する過程で不備があり北米で出荷を止めていたエンジン式フォークリフトのうち主力の小型車について出荷を再開したと発表したことが好感されました。

また、昨日の米国市場で主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5%高となったことから日本市場でも半導体製造装置株が高くレーザーテック(6920)が一時5.7%高となったほか、東京エレクトロン(8035)も一時3.6%高となりました。グロース市場ではBASE(4477)が15.3%高となりました。BASEが手掛ける電子商取引(EC)サイトの制作を支援するサービスと動画共有アプリのTikTokが連携する機能の提供を始めたと発表したことでサービス利用者の拡大を期待した買いが入りました。

一方でスタンダード市場では三協フロンテア(9639)が複数の営業拠点で不適切な会計処理がみつかったことから決算発表を延期すると発表したことで14.2%下落しストップ安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は251円高となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった1-3月期の実質GDPは前期比年率換算で1.0%減と2四半期ぶりのマイナス成長となりましたが影響は限定的で、昨日の米国市場が堅調な米小売売上高を受けて上昇となったことから買いが優勢となりました。しかし、昨日と一昨日に上値抵抗線となった25日移動平均線(26,730円)と75日移動平均線(26,823円)は上回ったものの、節目の27,000円を超えたところでは上値が重く朝方の買い一巡後に伸び悩みました。27,000円を回復すると押し返される展開が続いているだけに明日以降も買いが続いた場合には27,000円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時30分に4月の米住宅着工件数が発表されるほか、18日の米国ではシスコシステムズ(CSCO)の決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)