人類は哺乳類の中でヒト科の「学名 ホモ・サピエンス」とひとくくりにされますが、人種の違い以外にもお国柄というのはあるように思いませんか?
身体能力などについての人種の差(黒人アスリートの全身筋肉のような体格は世界の陸上競技等で圧倒的な強さを誇っています)のことではなく、考え方や感じ方等の国民性の違いについて。

宗教や政治制度、教育制度、それに基づく個々の家庭でのしつけ等で、個々人の考え方や行動規範は大きく変わってくるものだと思います。
報道等見ただけでもデモなどに熱く盛り上がる国民、事なかれ主義の国民など各国の国民性に対する印象はありませんか?

前置きが長くなりましたが、イタリアの総選挙を見てのこと。
まさか国家の信用を失墜させた張本人であるベルルスコーニ前首相が大きく得票を伸ばすことになるとは!緊縮財政によってユーロの信用回復に努めたモンティ暫定首相は大敗です。
おかげでユーロ不安がマーケットで再燃し、世界的に投資家はリスク回避の動きとなりました。

ギリシャ危機の際も、緊縮財政案は可決されるまでの道のりは険しく、国民のデモやストライキの映像も記憶に新しいですよね。

国民性で簡単に片付けることはできないとは思うものの、南欧気質、ラテン民族(ギリシャ人は厳密にはラテン民族とは言わないそうですが・・・)は「陽気」「楽天的」「浪費家」などが挙げられ、まさに両国とも政治状況、結果としての財政状況がそういった印象を受けますよね。

各国の財政や経済成長力などを数字だけで比較するのは簡単です。
ですが、経済の担い手である人間、その集合体である国民性はマーケットの動きや投資先を見て行く上で無視できないと言えそうです。

衝撃の結果を招いたイタリアは、そうは言っても先進国の一国ですが、今後を期待される新興国の中には、国としてのあまり馴染みがなく、政治や宗教、国民性をよく知らないようなところもあると思います。
そもそも国情があまり報道されていないことも多く、市場に対する規制やルールも様々ですし、その法律や政治自体が脆弱なこともあります。民族や宗教などの内紛問題を抱えている場合もあるでしょう。
単純に高度経済成長期の日本に置き換えての将来への期待から投資を決めるのはとてもリスクが高いと言えます。

もちろん期待してはいけないということではなく、投資を行う際には、その国の経済だけではなく、政情や国民性などについても十分に調べ、確認・納得しておくことが必要だということです。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員