VIX指数が一時上昇
投資家の不安心理を示す米国のVIX指数は、4月に週足の終値ベースで一時33.4まで上昇する場面がありました。図表では、上方がS&P500、下方がVIX指数の推移を示しています。
このVIX指数は恐怖指数ともいわれ、S&P500のオプションの価格を基に計算された指数です。通常、株式市場が安定していると10~20の範囲内で推移するといわれています。
株価急落時に突然、大きく上昇する性質上、移動平均線で平準化するとトレンドがわかりやすくなります。
以前のコラムでも解説しましたが、私はVIX指数の推移をみる際、図表のように短期の13週移動平均線(13週間の平均値をつないだ線)と長期の52週移動平均線(52週間の平均値をつないだ線)をよく使います。
13週移動平均線が52週移動平均線を下から上回るとVIX指数の強気(上昇)のサイン、13週移動平均線が52週移動平均線を上から下回るとVIX指数の弱気(下落)のサインとなります。
VIX指数の強気局面はいつまで続くか
2021年11月のVIX指数の急上昇によって、13週移動平均線が52週移動平均線を下から上回る強気のサインが発生し、株価はまもなく天井を形成し、調整局面に入りました。現在も13週移動平均線が52週移動平均線を上回っている強気(上昇)局面が続いています。
VIX指数は上向きに変わった52週移動平均線(5月13日現在、21程度)を下回ることなく、底堅く推移しています。30前後になることも珍しくなくなってきています。
13週移動平均線(同、27程度)も当面上向きのトレンドが続く可能性が高く、VIX指数が同線をサポートに早々に33.4を上回ると、上昇に弾みが続く展開も予想され留意が必要です。
一方、S&P500の52週移動平均線はすでに上向きから横ばいに変化し、13週移動平均線が52週移動平均線を下回る弱気サインが出現しています。株価の低迷がこのまま続けば、52週移動平均線が下向きに変わるのは時間の問題でしょう。このVIX指数の底堅さは、株価の底入れに対して、「もうはまだなり」を示唆しているのかもしれません。