先週、将来のための「自分年金」について書きました。
「確実性」「利殖性」の投資をバランスよく組み合わせることが長期的にお金を増やすためには大切であること、「確実性」投資としては債券投資を組み入れることをオススメしました。

ちなみにここでの債券投資は債券型投資信託を指していません。
もちろん債券型投資信託は魅力的な点はたくさんあります。少額でも分散投資ができ、個々の債券の中身や売買のタイミングはファンドマネージャーの采配で行われているので、単純に債券を保有する以上のリターンを得られる可能性も高くなりますが、分配金ねん出のために元本割れを起こすといったリスクもあります。

「確実性」=固定の利子収入(フィクストインカム)、元本の保全性、比較的買いっぱなしができるという点ではシンプルに債券を保有することの方が預貯金と似た性格を持たせることになると言えますね。

今回は「利殖性」の投資についてです。
折しも、為替市場は大幅な円安への流れ、株価も日米ともに大きく上昇してきており、事実個人マネーはリスク性資金への流出傾向が強まってきていて、「利殖性」投資のお話はしやすい地合いかもしれません。

「利殖性」投資とはリスクが高い分、高いリターンを期待できる為替や国内外の株式、コモディティへの投資などです。直接これらの市場で投資することも投資信託等を利用することもできます。

さて、すでに急ピッチでの「思惑」「期待」買いで上昇してきている市場には、初めから長期投資を前提で資金を投じるには注意が必要です。
急上昇には急落がつきものですから、「利殖性」投資用の資金をまとめて一度に投入しないように「投資先の分散」だけでなく、「時期の分散」にも十分気をつけてください。

もちろん、こんな大相場を黙って見過ごしましょう、とは言いません。
「利殖性」投資は相場が動いてこそ、リターンを稼げるわけですから、市場が活気に満ちているときはチャンスです。じっと市場を見て、待って、待って、ようやく出動・・・と出遅れた後追いでは大概天井買いで終わってしまいます。

市場のリスクが高まっていることの認識を強めて、長期投資の名の下買いっぱなしをせず、まめな相場チェック、必ずリスクヘッジ(利食い、損切りの注文)を行うようにしてください。

一つの目安として、「専門家」と呼ばれる人たちがこぞって強気な「絶対」発言、曰く「株価は○○円までは行く」「○○までは円安傾向は間違いない」等言い出す時は要注意です。
そんな時、もし上手く利益が出ている投資を行えているなら、早めに利益確定をした上で次の投資に備えるようにしてくださいね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員