今週行われる日銀の金融政策決定会合での約9年半ぶりの2回連続の金融緩和への期待もあり、先週は神経質な乱高下はあったものの、円安方向への為替の動きと共に日本株が上昇するという展開でしたね。

米国株市場も概ね堅調だったこともあり、世界経済は本格回復に向かっている・・・と思わせます。事実、様々な指標は底堅くなってきています。

こうした相場地合いのとき、市場は「いけいけドンドン」といった風潮になりやすいものです。でも専門家と呼ばれる人たちがこぞって「強気」になり始めたら用心が必要かもしれません。

個人的には円安への動きは少し急過ぎると感じています。市場が傾き過ぎている場合、大きな反落も考えられます。
株価上昇が円安を主な拠り所としている場合、ドル/円の急落は株価の急落にもつながります。
円安による輸入物価の値上がりによる家計の圧迫や、金融緩和の大号令が財政状況をますます悪化させることにも不安を感じてしまいます。

私自身は少々慎重過ぎるきらいもあるのかもしれませんね。今までのコラムを振り返ってみると、市場が好調のときには「慎重に」「欲張らずに」と冷静さを呼びかけています。
ただ、リーマン・ショック、ユーロ不安等、世界経済が打撃を受け、市場が下落、不安定なときには逆に「素早い利食いで」「コツコツ投資で」と投資を止めずに継続をすることを勧めてきています。

市場は生き物ですから相場が上下するのは当然で、思いがけない動きもします。市場相手に勝ち続けることなど不可能で、どんな伝説の相場師でも負けは経験しています。
要は最終的にトータルで「勝ち」に持って行ければよいわけですが、そのためには大負けしないようにすること、投資を継続していくことが大切です。

相場が悪くなると(負けて)投資を止める
→金利がほとんどない預貯金のみにする
→相場が良くなってくると慌てて追いかける
→一気に勝とうとして大きくリスクをとる(大金を投じる、レバレッジを大きくする等)
→結果、天井掴みで負けてしまう
・・・よくあるパターンですよね。
でもこれでは「投資はいつも失敗ばかりです」となってしまいます。

FPとしてはなるべく安定的かつ長期的にお金を殖やしてもらいたいと思いますから、投資は冷静に、焦らない、欲張らない、継続するということをベースにその時々の市場の状態に応じて声を発しているつもりです。
これからも勢いに水を差すように聞こえることを発言することもあるかと思いますが、一つの考え方として受け入れる余裕を持つことが投資の余裕につながるのではないでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員