東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。34円安の26,784円で寄り付いた日経平均はまもなくして275円安の26,543円まで下落しましたが、節目の26,500円を前に下げ渋り持ち直すと前引け間際にプラスに転じ32円高の26,850円で前場を終えました。さらに上げ幅を広げる展開となった後場の日経平均は64円高の26,883円で取引をスタートさせると13時10分過ぎに254円高の27,072円まで上昇しました。その後一旦節目の27,000円を割り込む場面もありましたが引けにかけて27,000円を回復すると結局185円高の27,003円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

東京電力ホールディングス(9501)が16.2%高となり年初来高値を更新しました。岸田首相が英国で講演し安全を確保した原子炉を有効活用すると述べたことで買いを集めました。他の電力株も高く関西電力(9503)が5.1%高、北海道電力(9509)も5.6%高となり、関西電力は年初来高値を更新しています。マツキヨココカラ&カンパニー(3088)も5.9%高となりました。岸田首相が新型コロナウイルスの水際対策を6月に緩めると表明したことからインバウンド需要の回復を期待した買いが入りました。スタンダード市場では免税店事業を手掛けるラオックス(8202)も買いを集め7.7%高となり年初来高値を更新しています。

また、原油価格の上昇を受けて石油関連株が高く資源開発大手のINPEX(1605)が4.9%高となったほか、石油元売り大手の出光興産(5019)も4.7%高となりました。

一方でエーザイ(4523)が一時4.0%安となりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発したアルツハイマー病治療薬のアデュヘルムに関する減損損失や在庫の評価損を計上することで2022年3月期の純利益の見通しを605億円から480億円に下方修正したことで大幅安となりました。さらに米化粧品大手のエスティ・ローダー(EL)が決算を発表し通期の見通しを引き下げたことで化粧品株が安く資生堂(4911)が9.3%安、コーセー(4922)も8.6%安となりました。暗号資産の交換業者に出資しているセレス(3696)もビットコインの大幅下落を受けて6.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は185円高となりました。日本市場が休場中に米国市場でダウ平均が4日間トータルで20ドル高となり小幅な上昇に止まったことや、昨日のナスダック総合株価指数が年初来安値を更新したこともあって売りが先行しました。しかし、朝方の売り一巡後に持ち直し上昇に転じるとバリュー株を中心に断続的な買いが入り後場に入って上げ幅を広げ節目の27,000円を回復しました。こうしたなかで日本時間の21時30分に発表される4月の米雇用統計に対するマーケットの反応が注目されますが、週明け以降も買いが優勢となった場合には25日移動平均線(27,151円)を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、大型連休の谷間で決算を発表する企業は多くありませんが本日も引け後にはJFEホールディングス(5411)や日本航空(9201)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)