先週、為替相場は円安に向かい、日本株も上昇しましたね。

「円安」といっても、為替相場史上でみればまだまだ相当の円高にあることは変わりませんが、輸出産業中心である日本株市場にはプラス材料と言えます。

そのきっかけの一つとなったのがご存じの通り自民党の安倍総裁の発言で、主なポイントが以下です。

1. 無制限の金融緩和

2. 物価目標(2%)の設定

3. 日銀法改正

4. 国債の日銀引き受け

景気の停滞感を強く感じている市場の、より一層の金融緩和への期待が強く表れた相場ということですね。

ちなみになぜ金融緩和が円安につながるかというと、

・金融緩和を行う(日本ではこれ以上金利は下がらないので「量的緩和」)
 ↓

・市中に円があふれる(相場関係の人間は「ジャブジャブ」とも表現)

 ↓

・円の価値が下がる=円安

という図式です。

市場は歓迎ムードとはいえ、日銀は反論しています。
上記のうち特に4.は先進諸国と比べても問題がある発言なのです。

世界各国で中央銀行(日本では日銀)は独立性を保つことが求められています。もし政府の言うなりに中央銀行がお札を刷り、政府の発行する国債をどんどん引き受ければ、市中には需給を無視した通貨があふれることとなり、急激なインフレに見舞われます。財政破たんも招きかねません。
事実、そうした過去の教訓があるため、世界各国の中央銀行では原則認めていません。

政治の金融政策への介入は実体経済に悪影響を及ぼしかねないリスクの高いモノと言えます。実際、今回の発言に対しても政財界から批判が噴出し、安倍総裁も発言修正をしたわけですが・・・。

さて、2.の物価目標の設定=インフレ・ターゲットについては米FRBをはじめ日本以外のG8諸国では目標とするインフレ率を定めています。
それだけで長らく続いたデフレが打破できるとは思えませんが、政府に押しつけられるのではなく(数値も政府の言いなりではなく)、独立性・自主性を保ちつつインフレ目標を採用することは日銀の積極的な姿勢につながり、効果もありそうですね。

相場の上昇は気持ちを明るくしますが、あくまで市場の期待感に過ぎません。期待はずれとなれば相場はしぼんでしまう可能性もあります。
もちろん相場は安倍総裁の発言だけで動いているわけではありませんが、政府、日銀のそれぞれの動向はますます注目しておく必要がありそうですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー