ご存じの通り、公的年金制度は抜本的な改革が求められています。将来予定通り年金受取は開始するのか、そもそも年金は支給されるのかさえ危ぶまれています。
今不安があっても、景気がよく雇用不安もなく、収入が右肩上がりであれば、希望を持ち、前向きな気持ちになれますが、先日内閣府から「景気後退局面に入った可能性が高い」との判断が発表されたばかりです。
一億総中流世帯と言われた時代からは大きく様変わりし、公的な保障を頼らずとも自力で生きて行かざるをえないということですね。

ところが現在、日本の全世帯の2割上が貯蓄ゼロだといいます。年収300万円未満の世帯のみならず、1000万円以上の世帯にも拡がっているとのこと。

一般に「万が一」の時のために貯蓄(流動性資産)は少なくとも月収の3カ月分(できれば6カ月分)は用意しておくことが推奨されています。
ゼロというのは生活維持費で収入のすべてが消えている状態ですから、何かこれまでの日常と異なる事態に直面したときにはもうお手上げです。
すぐにでも家計を見直すべきでしょう。

貯蓄ゼロという家計の場合、実は無駄な支出や使途不明支出が多いようです。お金をコントロールするためには、そうした不明部分を解消することから始める必要があります。

金利が低くて利息はなかなか稼げないことを知っていながら、クレジットカードのリボ払いは気軽に使って、高い金利(まさに無駄な支出です!)を払い続けている方もいます。
気がつかないうちに借金を膨らませている典型ですね。

わずかな貯蓄を自らゼロにしてしまう無謀なケースもあります。
お金にルーズなわけでもなく、資産を増やそうと純粋な気持ちでまっとうな投資行動を行っている方の中にも見受けられるものです。

遅々として貯蓄が増えないことへの焦りと不安から、一攫千金を狙った高リスクの投資を、しかも一点集中で行ってしまうようなケースです。
ご本人はギャンブルではなく、正当な金融投資を行っていることからそのリスクの高さに対する意識が薄れてしまっているのかもしれませんが、高リスクの金融商品は手元の資金を一気に失う可能性も高いのです。

まずは収入支出を把握し、無駄を省いて1000円でも2000円でも作り出せたら積立のような強制的な形で貯蓄を積み上げていくことから始めましょう。
超低金利の世の中では投資は必要不可欠ですが、リスク・コントロールを十分に行って少額投資から行うように心掛けたいものですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー