東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。386円安の26,313円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分余りで649円安の26,051円まで下落した後10時40分過ぎに393円安の26,307円まで持ち直しましたが、再び下げ幅を広げると501円安の26,198円で前場を終えました。434円安の26,265円でスタートした後場の日経平均は14時40分過ぎに293円安の26,406円まで戻すと結局313円安の26,386円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

アサヒグループホールディングス(2502)が4.3%高となりました。傘下のアサヒビールが主力商品のスーパードライなどのビールや缶チューハイ、国産ウイスキーなどの生産者価格を10月1日から値上げすると発表したことで収益の改善を期待した買いが入りました。サッポロホールディングス(2501)やキリンホールディングス(2503)にも買いが波及し、サッポロホールディングスが7.4%高、キリンホールディングスも一時5.2%高となり、サッポロホールディングスは年初来高値を更新しました。三越伊勢丹ホールディングス(3099)も3.3%高となりました。構造改革による販管費削減や繰り延べ税金資産計上で税負担が減ったことなどで2022年3月期の純利益の見通しを70億円から120億円に上方修正したことで大幅高となりました。他の百貨店株にも買いが広がり高島屋(8233)は一時3.4%高となる場面がありました。また、デンマークの海運大手が2022年12月期の業績予想を上方修正したことで海運大手3社が買われました。日本郵船(9101)が5.5%高、商船三井(9104)が3.8%高、川崎汽船(9107)も2.9%高となりました。

一方で本決算を発表したファナック(6954)が5.7%安となりました。ファクトリーオートメーション(FA)関連やロボットなどの事業が伸びることから2023年3月期の営業利益が前期比で7.7%増となる見通しを発表しましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は313円安となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国の都市封鎖拡大の可能性が高まるなか世界景気の減速懸念が強まり昨日の米国市場が大幅反落となったことで売りが優勢となりました。一時は650円近く下落したものの節目の26,000円を前に押し目買いが入り底堅さをみせると下げ幅を縮めました。下げ渋ったことで明日以降の切り返しに期待したいところですが、一目均衡表の雲の下限(26,440円)を割り込んだことから下値への警戒感も意識されそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に信越化学工業(4063)や日立建機(6305)、アドバンテスト(6857)、キーエンス(6861)、JR東日本(9020)などが決算を発表する予定です。また、27日の米国ではボーイング(BA)やクアルコム(QCOM)、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)などが決算発表を予定しています。さらに明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)などに変更があるかが注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)