BRICsへの投資が注目を集めてから随分経ちます。

BRICsとはブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)という新興国を代表する4カ国の頭文字のことですね。

先進諸国の経済がリーマンショック以降なかなか立ち直れない中、比較的回復力が強い新興国の存在は、特に中国を中心に投資家の投資意欲を刺激してきました。
ですが、ユーロ信用不安が勃発して以降は先進諸国に足を引っ張られ景気失速気味であると同時に、こと中国に関しては日中関係の深刻化が経済にも悪影響を及ぼしていると考えられます。

さて、これまでBRICsの4カ国の中では飛びぬけて中国に投資する金融商品が多く、次いでインド、ブラジルと続きます。ロシアはBRICsの中に名前があり、G8にも参加している割にはこれまで投資機会はそれほど多くなかったと言えます。
ここにきてロシアへの投資、それもロシアンルーブル建ての投資さえも可能になってきたことは注目に値するでしょう。

こうした新興国は将来的な経済成長力について、今後も波はあるものの先進諸国にはない強みと期待があると思いますし、もう一つ、(中国だけはすでに低金利となっていますが)いまだ高めの金利を保っていることは魅力と言えるのではないでしょうか。
将来を見据えた株式投資や高めの金利を得られる(フィクストインカム)投資が有利なのですが、そこで注意すべきは為替の動きです。

為替の世界と長く付き合ってきた私にとっては、BRICs諸国の通貨はどこも規制通貨(マイナー通貨)であり、流通量が極めて低いため、ボラティリティも高く不安定であるイメージをもってきました。
通貨だけ見れば、現在もメジャー通貨と並べるわけにはいかないことは事実で、相場の不安定さから投資全体が為替差損でマイナスになってしまう可能性は常にあります。

ただし、規制通貨はバスケット方式や固定相場を採用しているケースも多く、その点を把握していれば、その動きは対象となる先進国通貨の動きに連動することが多いため、予想はし易くなります。

また長期的には投資元の通貨(日本円)に対してその通貨が安くなっているタイミングでの投資であれば、為替リスクを回避しやすいと言えますね。

幸いなことに現在の日本円は史上かなりの高値にあり、バスケット方式の中心に採用されることの多いドルやユーロは相対的に安くなっています。
つまり新興国通貨も総じて円に対して割安になっていると言えます。もちろん今後相場の乱高下がないと言う意味ではありませんし、バスケット方式の通貨制度もいつ変更されるかわからないというリスクが常にあります。

そうしたリスクに納得した上で、より高い金利や経済成長力に魅力を感じるのであれば、先進諸国への投資からは得られないリターンへの期待はもてそうですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー