先週、世界の各国の閣僚や中央銀行総裁が集結するIMF・世界銀行年時総会が東京で開催されました。中国は日本に対する国民感情を背景に、このような重要な国際会議を直前でボイコットし、かえってそれは「チャイナリスク」を世界に印象づける結果となったといえます。

今や世界第二位の経済大国となり、13億人の人口と広大な土地をもつ中国はBRICsの一角としても今後世界経済を牽引する国として大きな影響力をもっています。
これまでの中国の経済成長は日本の高度経済成長期になぞらえられることも多く、実際1990年以降の中国の株価の動きは日本のバブル期までのそれとの類似性も指摘され、ますますの成長を期待されてもいます。
リーマンショック後いち早く回復を見せた中国への投資比率を高めた方も多かったことでしょう。

もちろん最近では欧州信用不安の煽りもあって、景気失速が目立ってきていたのは事実ですが、それ以上に今回の国際会議のボイコットを含む一連の日本バッシングのやり方等見ていて、あまりに先進国にはあるまじき行動が目立ち、政治体制の違いとそこからくる経済への悪影響をまざまざと感じさせられました。

先進諸国の経済状況が停滞し、投資先に困るような状況が続くと、ついつい日本の過去の高度経済成長を繰り返してくれそうなところに過剰な期待を持ってしまいがちです。単に日本より数10年遅れているだけで、同じような急激な経済成長(→株価上昇)があるはずであると思いこんでしまいます。
でも取り巻く世界各国の状況やその国の政治・軍事・人種・宗教などの違いは想像以上に経済に大きく影響します。
海に囲まれて国土の小さい日本において問題にならないことも、他国においては国家を揺るがすような大問題になりかねません。

これらのリスクはカントリーリスクといい、為替リスクや金利リスク等と並び、ますます重要視すべきリスクといえるのではないでしょうか。

世界経済が連動し、ボーダーレスになってきているため、分散投資の効果が薄れてきているとも言われます。それでも各国固有の国内リスクはありますし、それぞれの国家間での影響の大きさも(貿易・政治・地理的関係などから)異なりますので、資産の安全のためには分散しておくことの意味は十分にあると思います。

ある一定の国、地域等の投資に期待が持てる、と聞くと一気に集中投資をされる方もいますが、その時どんなに条件がよく見えても「絶対安心・安全」な投資先はないと心得て投資比率を高め過ぎないようにくれぐれも気をつけてくださいね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー