東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて4日ぶりに反落となりました。355円安の27,197円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ高値に下げ幅を広げると取引開始から50分で648円安の26,904円まで下落しましたが、その後は徐々に下げ幅を縮める展開となりました。節目の27,000円を回復し519円安の27,033円で前場を終えた日経平均は518円安の27,034円で後場の取引をスタートさせると14時50分前に376円安の27,176円まで戻し結局447円安の27,105円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

日立物流(9086)が14.8%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。日立(6501)がグループ会社の日立物流を売却する方針を固め米大手ファンドのKKRに売却に向けた優先交渉権を与えたと伝わったことで買収によるプレミアムを期待した買いが入りました。また、日立物流を10%弱保有するSGホールディングス(9143)にも思惑買いが入り3.2%高となっています。さらに東芝(6502)も4.7%高となり年初来高値を更新しました。株式非公開化を含めた再編の提案を募集すると発表したことでTOB(株式公開買い付け)による非公開化を期待した買いが入りました。塩野義製薬(4507)も一時2.7%高となりました。塩野義製薬が開発する新型コロナウイルス感染症の経口薬に関して米政府と購入を視野に交渉を行っていると伝わったことが材料視されました。

ディスコ(6146)も3.7%高となりました。半導体不足から顧客の増産に向けた積極的な設備投資が続き製造装置の引き合いが高水準で2022年3月期の営業利益が前期比で72.3%増となり過去最高となったことや、第1四半期の営業利益が前年同期比で43.7%増となる見通しを発表したことが好感されました。西松屋チェーン(7545)も5.3%高となりました。4月後半に気温が上昇したことで春物衣料や夏物衣料、帽子や靴などの売り上げが大きく伸びたことなどから4月の既存店売上高が前年同月比5.6%増となったことで大幅高となりました。

一方で昼休み中に決算を発表したジャフコ(8595)が5.4%安となりました。大型の新規株式公開(IPO)による株式売却益が増加したことやファンドの成功報酬も増えたことで2022年3月期の営業利益が前期比で88.2%増となりましたが、市場予想に届かなかったことで後場に一段安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は447円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が討論会で5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げの可能性に言及したことから昨日の米国市場が下落したことで売りが優勢となり下げ幅を広げ一時は650円近く下げました。しかし、節目の27,000円を下回ったところで押し目買いが入ると下げ渋りました。25日移動平均線(27,389円)や75日移動平均線(27,154円)は割り込みましたが、一目均衡表の雲の上限(27,034円)は引けで維持しています。そのため週明け以降の反転も期待できそうです。なお、今週から決算発表がスタートしていますが本日も引け後には東京製鉄(5423)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時45分には4月の米製造業PMI速報値が発表されるほか、22日の米国ではベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)やアメリカン・エキスプレス(AXP)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)