今月に入ってから、ユーロ(ECB)の国債買い入れプログラム、米国(FRB)のQE3、日本(日銀)の追加金融緩和と主要国での金融緩和政策が続きました。
ご承知の通り、株式であれ為替であれ、いずれの市場もこうした国(中央銀行)の打ち出す金融政策のニュースには大きく反応します。

反応することはわかるけど・・・どちらに向かうの??
昔、ディーリングルームの配属になったばかりの頃、お恥ずかしながら焦り、困った記憶があります。
当時の市場は、情報にあふれ、初歩的な解説も多く見受けられるようになった昨今とは異なり、「プロ」のものでした。「職人ディーラー」にはいちいち聞けず、市場はどちらに動くのか必死に頭の中で整理したものです。身体で反応するようになれば一人前なのかもしれませんね。

現在も情報が多くあるのはよいことですが、基本を知っている、つまり身体で反応できる人向けに出されるニュースも多々あります。
初心者の方には当時の私のように???と感じる方もいることでしょう。それによって市場取引や投資を敬遠してしまってはもったいないですよね。
身体で反応できるようになるための基本の一歩を解説しましょう。

まず金融緩和政策とは景気刺激策の一つで、景気の先行きが不安、後退気味といったタイミングで行う政策です。
政策金利(短期金利)を変更する金利政策が一般的です。投資等を行いやすくするために金利を下げる手法ですね。(資金調達がしやすくなる⇒景気活性化)

ところが政策金利がほとんどゼロの日本では金利政策が有効でなくなり(これを「流動性の罠」と言います)、量的緩和策を行うようになりました。

これは中央銀行が債券などを買い取ることで、世の中に出回るお金の量を増やすことを目標とした政策です。(お金の量が増える⇒資金調達しやすくなる⇒景気活性化)
米国もサブプライム問題以降、政策金利が超低金利となり、QE1~3と量的緩和政策を取るようになっています。

景気活性化を目的とした政策ですから、当然のことながら企業の業績回復などが期待され、株式市場にとってはプラスの影響を与えます。
そのため金融緩和策への期待が高まると株価は上昇します。

為替市場では、その国の通貨が売られ、通貨安方向に向くことが一般的です。例えば日本で金融緩和策が実施されると世の中に出回る「円の量」が増えることになり、円の価値が下がることにつながりますよね。

こうした基本を知っておくことは絶対条件ではあるものの、その時点での市場の期待度、政策発表が期待通りだったのか、期待はずれだったのか等で方向が正反対になることもあり得ますので十分に注意してニュースを見るようにしてくださいね。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員