前回、「うまい話」に見せかけた投資詐欺にひっかからないための基本事項を書きました。

今回は実際にあった投資詐欺を例に留意しておきたいポイントを解説しますね。
アフガニスタン、スーダン、イラクなどの実物貨幣の購入を勧めるという投資詐欺がありました。それらを高値で買い取るという電話をかけることによって、あたかも即「儲かる」かのような強引な勧誘だったとのこと。

もちろん、投資家である皆さんがこんな話にひっかかることはないと思いますが、一般の通貨投資においても留意していただきたい点がいくつかあります。

【1】通貨の投資において、現物貨幣(現金)は原則的にNG

よく円高が進むと両替商で米ドルなどの現金に換金する人が増えるようですが、たとえメジャー通貨であっても、「現金」は投資という意味では不利です。
金利を得るためには少なくとも預金をする必要がありますが、銀行に現金を持ち込めば現金の取り扱い手数料は高くつきます。

旅行で使えば・・・といっても米国など海外は日本と異なりカード社会ですから多額の現金を持ち歩くことは大変危険です。外貨現金をタンス預金にしても、ほとんど意味はありません。円安時に再度換金することが目的であれば、「現物貨幣」ではない方が現実的でしょう。

次のポイントとしては、

【2】通貨への投資の場合、原則メジャー通貨で

そもそも紛争地域の通貨は為替市場においての取引が成立しないようなケースが多く、つまり為替レートはほとんどないような状況です。通貨価値が極端に低く、貨幣は紙切れ同然ということも。そんな通貨は現地でさえ信用度が低くて、物の売り買いにおいても米ドルなどのメジャー通貨の紙幣を望んだりされています。
法律で外貨持ち出し規制がある場合もあり、つまりは外国(日本国内)で極端なマイナー通貨の紙幣を持つことは、コレクターでもない限り投資としての意味はほとんどありません。

紛争地域の貨幣を高額で・・・というのはありえないと笑っても、今注目の新興国と聞けば俄然興味を持つ方もいますよね。マイナー通貨は為替市場で取引されているものでも、その流通量やマーケット規模が小さいため、ボラティリティが極端に高くなることは大いにあります。

マイナー通貨の為替リスクはメジャー通貨のものに比べてずっと大きいことを十分注意してください。

投資の裏に潜むリスクを認識しないままお金を投じてしまうことが最も危険です。
投資詐欺は問題外ですが、全うな金融商品であってもリスクの中身を理解しないでいると思わぬ落とし穴がある場合もあります。

自身のお金を守っていくためには、自身で学び、理解していくことが重要かつ必要であるということですね。地道にいきましょう。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー