金利の市場は原則個人投資家が参加できないこともあり、難しいイメージが強いのではないでしょうか。一般に個人に関わり合いのある金利といえば、預貯金の金利、債券の利回り、住宅ローン金利・・・くらいですよね。
先日より問題となっている「LIBOR」の不正操作問題ですが報道で初めて、金利の存在を知った方も多かったかもしれませんね。

LIBOR(=London Interbank Offered Rate 、ロンドン銀行間取引金利)は、「銀行間取引」というだけに、一見個人には関係ない市場での話のように見えて、実は私たちの生活に密着する上述した金利にも影響する問題です。

LIBORは金融業界において一種の基準金利です。
デリバティブ取引、例えばスワップ取引は固定金利と変動金利の交換といった金利の交換取引ですが、その変動金利は「L+10bp」(=LIBORに10ベーシスポイント(0.1%)上乗せた金利)といった決め方をします。住宅ローン金利や企業への貸出金利なども、LIBORを元に算出されることが多いのです。

デリバティブ取引は今や個人投資家に人気のある仕組債券や仕組預金の裏側には欠かせないものですし、住宅ローン金利はもちろんそのまま個人の財布に影響を及ぼします。企業への貸出金利は企業の金利負担額につながり、結果業績を左右する大きな要因となって株価や従業員の生活(給与・ボーナス等)にも関係してくるものです。

ところで金利には金融商品の利回りや利息の表示としての役割の他に、「信用度を表す」という重要な役目があります。ギリシャ発の欧州信用不安において、当該国の国債の利回りが急上昇したのもそのためですよね。

信用度が高ければ金利は下がり、信用不安が募れば金利は上がるものです。これも市場での需給に基づく公正な取引が前提となっているもの。
今回の不正操作では経営不安と見られることを避けるために実勢より低い金利を提示したというケースもあったとのこと。
そもそもの市場取引、そして基準になる金利が信用できなくなってしまうと、金利そのものの信認が崩れていってしまい、その点こそがこの事件の深刻な部分と言えます。

信用、信頼できる金利の存在は、意識することはあまりなくとも、投資家にとっては金融商品に投資する際の基準、拠り所となっています。
金利はあらゆる金融商品に関係するものですから、より深い理解と、金利関連のニュースにもアンテナを張ることをオススメします。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー