今回はYouTubeチャネル「PAN米国株投資ちゃんねる」を運営するPANさんにインタビューしました。PANさんはリーマンショックで700万円損失するも、2013年に米国株投資を始め、2020年に2億円、2021年に3億円を達成しました。PANさんに、投資戦略の考え方や今注目しているセクター、未公開株への投資、失敗を成功に変えるためのヒントやお金との向き合い方などを伺いました。
 
●PANさんプロフィール●
金融資産3億円超の個人投資家。シリコンバレーにてハイテク企業に6年間勤務。その後、現在は日本でハイテク外資企業に勤務。金融資産100万円から10年で1億円、その後3年で3億円達成。2021年のリターンは約4000万円。YouTubeチャネル「PAN米国株投資ちゃんねる」では米国経済状況、ETFや個別株について解説。

リーマンショックの失敗を糧に米国株で再スタート

――投資を始めたきっかけを教えてください。

2000年頃、『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)という本が話題になっていて、会社の先輩から「これ、読んだ方がいいよ」と勧められたんです。それを読んで投資の重要性が自分の脳にインプットされました。でも当時は資金もなく、その本で書かれているような不動産投資には踏み切ることができませんでした。

徐々に資金が増えて、2005年に当時流行っていたBRICSへの投資信託、FX、日本株のIPO投資などを始めました。その頃はあまり投資の知識もなく、ただ流行りものに興味を持っていただけでした。そのような中、2008年のリーマンショックで800万円の資産が100万円まで激減。手元資金がなくなり、投資できない期間が5年ぐらい続きました。

――それで投資をやめようと思いませんでしたか。

失敗は勉強だと考えています。リーマンショック時には700万円を損しましたが、その失敗によって自分の至らなかったことや、やってはいけないことを学んだので、それを活かして再チャレンジしようと思いました。損したからと言って、そこでやめてしまったら死に金になってしまうので。いかに失敗を次に活かしていくかが大事ではないでしょうか。

――それからどのように投資を再開されたのですか。

2013年頃、当時仕事で米国に住んでいたので、米国株の個別銘柄をメインに投資を再開しました。以前のような失敗をしないよう、企業のことを深堀して調べ、独学で投資や経済を勉強しました。

売買の判断には思い切りと覚悟が必要

――現在のポートフォリオを教えてください。

キャッシュ30%、S&P500とナスダック100のレバレッジETF50%、個別株20%ぐらいです。

――売買のタイミングをどのように判断していますか。

買いのタイミングはアップトレンドの時です。上昇傾向が継続しているものは、ある程度どこで買っても良いと考えています。ただ、上昇しすぎているように感じる場合は、一度下がるタイミングまで待ちます。インデックス投資においては金融相場、業績相場であれば、押し目買いも選択肢の1つだと思います。

売るタイミングの考え方はとても難しく、お勧めできる1つの方法はありません。(1)上がっている最中に「この辺でお腹いっぱい」と思って売る(2)上がったところで停滞した時に売る(3)下がり始めた時に「動きが怪しいな」と感じて売る(4)損切、の4つのパターンのいずれかが考えられます。どれを選ぶにしても思い切りと覚悟が必要でしょう。

私は、「ここは逃げ時だ」と判断したら保有資産をすべて売却して利益確定することもあります。その後、相場の状況に応じて、半分または全部再度保有したりしていますね。

――一定の売却の基準を設けていないということですね。

はい。単純に「プラス○%になったら売る」というやり方はとっていません。損小利大でできるだけ引っ張る必要があると考えているからです。失敗しながらも、常に相場と対峙しながら自分の投資戦略を考え、売買のタイミングを判断するようにしています。

リスクをとって未公開株購入にチャレンジ

――未公開株を購入したきっかけを教えてください。

もともと未上場の会社に入社して、自社株が公開された経験がありました。米国で仕事をしていたときに未上場の会社に転職することなく、未公開株を購入する方法はないのかな…と思って調べていたところ、ブローカーが見つかり、担当者の方と会って不明な点などを確認してから購入しました。

未公開株は大化けする可能性もあれば、全損する可能性もあります。ですので、ある程度の資産がないと、チャレンジは難しいかもしれません。例えば、資産が1000万円の人にとって1000万円の未公開株の購入はハイリスクですが、1億円ある人なら1000万円で買って全損しても10%マイナスになる程度になります。10%マイナスは上場株投資においても起こりえることでしょう。

ただ私の場合、未公開株購入の話が進んでいた2020年当時、コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まった時期だったので、「こんな時に未公開株を買っていいのだろうか…」という不安もありました。結果的にはそれが成功したのですが。

――今後の未公開株への投資方針を教えてください。

未公開株で得た利益でまた新たに2社の未公開株を買って保有しています。それが成功したら、その分の利益でさらに未公開株を購入する…というかたちで続けていきたいと考えています。最初の未公開株の購入は大きなチャレンジでしたが、その後はわらしべ長者のような感じですね。

チャートは投資家心理を表す、一歩先に動くことを心がけて

――投資サイクルはどのように考えていますか? 

将棋でよく「3手先を読む」と言われますが、私は投資においては中長期な視点で考えていて、2年先ぐらいを想像して投資しています。

――短期トレードはしない方針ですか。

基本的に短期的な視点で売買することはありません。ただ、結果的に短期で売却する場合もあります。購入した途端に株価が下がって1日で損切りすることも。ですが、投資する際には1年以上保有したいと思って購入しています。

――Twitterに投資で大事なことは「耐えること、待つこと、自分の感情と反対の行動をすること」と投稿されていましたが、それを実践するためのヒントをお伺いできますか。

チャートは投資家心理を表します。自分の考えていることをチャートの向こうにいる多くの投資家も考えています。それの裏をかく、一歩先に動くことを心がけています。これは失敗を繰り返しながら試行錯誤して身につけるものだと思っています。私自身、今でも失敗をしながら学んでいるところです。

例えば、株が急激に売却されている時、多くの投資家が売っている状況を想像し、恐怖を感じている投資家が売り終わったら回復が期待できると考えます。自分も恐怖を感じますが、そこはあえて逆に動くようにしています。

――2020年に2億円、2021年に3億円を達成されたとのことですが、今年の目標として掲げていることはありますか。

私は1年の目標は立てないようにしています。と言うのも、相場の状況によってプラスになる年もあれば、マイナスになる年もあるので。3年ぐらいのスパンでプラスになっていれば良いかなと考えています。

>> >>相場変動時の投資戦略、資産億超えでもFIREしない理由とは【後編】

※本インタビューは2022年3月15日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。