先週、世界の大手金融機関15社が一斉に格下げされました。予想されていたことなので、市場への影響は限定的と見る筋が多いようです。

とはいえ、金融の健全性、安定性に関する問題というのは他の業種に比べ、より経済の根幹に関わると言えます。
経済の血液と言えるお金の動きの中心に存在するのが金融機関です。融資、資金調達等々あらゆる業種の企業、そして個人が金融機関と関係していますよね。
金融機関が危機的な状況に陥ると、それは景気全般に大いに悪影響を及ぼすことになります。
日本の「失われた10年(20年?)」も金融機関の破たんから始まりました。
そういう意味で今回のニュースは、格下げの予想と結果だけを見た短期的な市場の動き以上に、長期的な欧米の金融・経済不安の継続を予想させるものです。

今後長い目で見て世界のどこに投資していくべきなのか・・・ますます悩むところではありますね。

先週のG20で「世界はオーストラリアのやり方に学ぶところがあるだろう」とオーストラリアのギラード首相が発言したと日経新聞は報道しています。
その発言は「豪州経済が財政出動で景気後退を免れるとともに、財政黒字復帰の道筋を描いていると自信を見せている上だ」とのこと。

豪経済は最大の貿易相手国である中国の景気にかなり左右される傾向があります。その中国が景気減速しつつある現実は不安要素ではあるものの、豊富な資源を有し、欧米の経済不安に比べると堅調に推移していると考えられます。

オーストラリア準備銀行(豪 中央銀行)が、今月政策金利を利下げしたのも、世界経済の弱さを見据えたもので、国内景気に対する不安というよりは予防的措置と見られています。
ただ今後も引き続き予防的利下げが続く可能性もありますが、投資家にとっては現在の比較的高めである金利での「固定金利収入」を確保するというのも有効な方法の一つと言えるのではないでしょうか。

しかしながら、固定金利収入を外貨で得るときの一番の心配は為替リスクです。数%程度の金利収入など、為替変動で一度に消えてしまうこともありますので。
現在の円相場については、欧米の経済不安回避から円買いが続くという見方と、かなり行きすぎた円高がゆっくりと修正(円安方向)されるという見方に分かれます。
日本の財務状況、政治、経済、いずれも不安要因が満載(=円を買う理由にはならない)であることを考えると、既に史上最も高い水準にある円相場がこれ以上大きく円高に振れることは個人的には想像しにくいです。

もしこれ以上円高は進みにくいと考えられている場合でも、資産を外貨(しかも一国に)集中投資するようなことはリスクが高過ぎます。
バランスよく配分するよう心がけてくださいね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー