日本株は期末要因の剥落で戻りも一服、先週後半は3日続落と軟調な展開となった。それまでの戻りが急ピッチだったため、新年度入りに際して機関投資家が含み益のある株式を売却して早めに利益を確保しておこうとする益出しの売りが出たことも重石となった。日経平均は200日移動平均で頭を抑えられた格好でチャートの形は良くないが、一方で75日移動平均は下支えになっているようにも見える。ここで踏みとどまって再度、2万8000円台を試す動きを期待したい。
今週から東京証券取引所では「プライム」「スタンダード」「グロース」の新たな市場区分に移行して取引を開始する。このご時世、「ご祝儀相場」などはもはやないだろう。今週の注目は2月期決算企業の決算発表だ。4日にはしまむら(8227)、5日にはスギHD(7649)、7日にはウエルシア(3141)、セブン&アイ(3382)、イオンモール(8905)などが発表予定。
小売り以外では、3月期決算企業の先行指標として注目される安川電機(6506)の決算が8日にあるが、同じく8日発表のキユーピー(2809)にも注目したい。先週発表された日銀短観では、大企業製造業の販売価格判断DIはプラス24と前回調査から8ポイント上昇した一方で、原材料価格の高騰に伴い仕入れ価格判断DIはプラス58と同9ポイント上昇。原材料高を販売価格に転嫁し切れていない構図が明らかになった。原材料高の価格転嫁難が意識されたのか先週金曜日は食品株が売られ、安値を更新する銘柄が目立った。その中でキューピーの株価は逆行高だった。ブランド力がある同社は値上げしても客離れが起きないと市場で見られている。
海外企業の決算では7日の韓国サムスン電子が注目される。
今週の相場材料は4日に上述の東証新市場区分スタート、米国の2月製造業受注、5日に3月のISM非製造業景気指数、6日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、北大西洋条約機構(NATO)外相理事会、7日に日本の2月景気動向指数、8日に3月の景気ウォッチャー調査などがあるが、なかでもFOMC議事要旨は波乱材料になりやすい。ただ、ここにきて次回FOMCでの50bps利上げ観測などFEDの引き締め強化については相当織り込みが進んでいるだけに、議事要旨で多少タカ派的な内容が明らかになったとしても市場の反応は限定的だろう。
今週は5日に中国の清明節がある。中華圏の市場が休場となり、グローバルに悪材料が出る場合、開いている日本市場が中国株のエクスポージャーの代替として余計に売られるリスクがあるので念頭に置いておきたい。