先日80代半ばの知人女性と投資の話をしました。
その年代の女性ではあまり多くはないと思いますが、政治、経済、投資環境などについて大変興味をもっておられ、きびきびとして、元気に年を重ねて行くことのモデルにしたいような方です。

その方は、これまでも数々のファンド投資などされていたのですが、リーマン・ショックとそれに続く急激な円高の過程で思い切った損切りをし、その大半を現金に戻されていました。(なかなか思い切った損切りには踏み切れない方も多い中、感心できる点でもあります。)
まだまだお元気なその方は預金に寝かしていても・・・ということで新たな投資先を模索しておられました。

主に下記のような点について聞かれました。

●今後の世界景気全体の行く末

●新興国に魅力は?

その話に入る前に確認したのは、その方の投資に対する考え方などです。●投資をする資金は、余裕資金であって、リスクもある程度許容できるかどうか
●その場合、大きく元本割れするような商品への投資方針

●何十年後かに大きく増えることを期待するわけではない = 現在のお小遣いの足しにしたい

ご存じの通り先進国を中心にいまだ大きな問題を抱えている状況で、市場も混沌としています。新興国経済もそうした影響を受けやすい環境にはあるものの、先週も書きましたが長い目で見れば魅力的な地盤は固まりつつある地域が多くあることをお話しました。
新興国投資が魅力的であることはもちろん否定しませんが、この方の年齢を考えると何年、何十年先に大きく伸びる「可能性」への投資というのは現実的ではないとも言えます。

かといって定期の預貯金や国債ではあまりに利回りが低いため、この方のようにある程度のリスクを取れる方にとっては魅力が乏しいものです。

そこで一つの例としてオススメしたのは、「社債」です。
金利収入を約束する債券という商品性はお小遣いの足しにはもってこいですし、企業の信用リスク分上乗せになる利率の高さは預貯金にするより資産全体の利回りのアップを期待できます。

ご年齢、信用リスクを取ることなどを踏まえ、なるべく短期かつ「投資適格」(格付けでいうとトリプルB以上、債務不履行のリスクはかなり低くなる)の社債を検討してみてはというお話をしました。

円高の折、今なら為替リスクも取れる、数年後には今より円安になると考えている方なら、外貨建て社債はより利回りの高い魅力的な商品と言えますね。

ご高齢の方に限らず上記のような条件に合う方であれば、分散投資の一つとして社債投資を検討されるのもよいのではないでしょうか。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー