前回、使用可能なお金を確保する方法として下記の【1】と【2】をお話しました。
(前回のコラムはこちらでお読みください。)

【1】支出を減らす

【2】収入を増やす

【3】お金を働かす

今回は【3】お金を働かすについてお話していきます。

「お金を働かす」というのはお金からお金を生み出す仕組みを作り出すこと、つまり効率的に投資をすることです。お金を寝かさないようにします。

皆さんがよく耳にされているのは「長期・分散投資」ではないでしょうか。私も以前は必ずと言ってよいほどそのように説明してきました。
もちろん今でも否定するわけではないのですが、ここ10数年で投資環境がそれまでの数10年とは大きく異なってきたことを改めて認識しておくことは大切だと思います。

10年以上前までの過去数10年間は右肩上がりの経済成長が前提であり、基準となる日本の金利も数%あったため、多少の上下があっても我慢していれば金融商品を長期間保有することで資産は大きく増えていたはずです。
単純に日本と外国、株式と債券という分散でも逆相関が成り立ち、ヘッジ機能が効いていました。

投資市場のボーダーレス化が進み、世界の金融商品は同時同方向に振れることも増えました。また先進諸国経済が低成長化および財務問題が目立つようになったことで先進国への分散投資は必ずしも安全資産ではなくなってきています。
個人投資家の存在感が増して、市場の動きもセオリー通りではなくなってきています。

一方で個人投資家が参入できる市場商品の数も増え、その中身も機関投資家のものと遜色ないくらいになってきています。
そうした比較的新しい商品は、仕組が複雑なものやリスクが高めのもの、そして以前であれば「投機的」と表現されかねない、短期的な視野で相場を見ておく必要があるものも多いのが事実です。

すでに投資家間で大きく市民権を得たFX投資をはじめ、CFDやヘッジファンドなど多種多様な投資対象、投資方法の商品が増えています。

過去のセオリー通りの方法で資産を効率的に増やせない環境にあることを考えると、新しい商品、方法を毛嫌いすることなく理解していく努力が必要となってきていると言えます。

ただし、リスクの高い商品ばかりに集中して投資をすることは資産全体のリスクを高めるだけです。流動性資金の確保(預貯金等)、伝統的資産への配分(株式や債券など)をした上で新しい投資先を組み入れたポートフォリオを作っていくようにしたいですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー