2000年以降の130円超は2002年だけ

米ドル高・円安が120円を大きく超えてきたが、では、この米ドル高・円安はどこまで進むのか。

ちなみに、2000年以降の米ドル高・円安のピークは、2002年に記録した135円。この前後、数ヶ月130円を超えた米ドル高・円安が続いたものの、それ以外では2000年以降で130円を超えた米ドル高・円安はなかった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と5年MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この2002年以降の米ドル高・円安は、最大でも2007年や2015年など125円を大きく上回ることが出来ない程度にとどまった。これは、米ドル/円はもう130円を超えられなくなっているという意味を示しているのだろうか。

ところで、絶対水準ではなく、例えば長期移動平均線からのかい離率で見ると、少し印象は変わるかもしれない。上述のように、2000年以降の米ドル高・円安のピークは2002年の135円、それに続いたのは2015年の125円だった。ただ、5年MA(移動平均線)かい離率で見ると、前者がプラス12%程度だったのに対し、後者はプラス30%以上に拡大していた(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の5年MAかい離率 (1990年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように、2002年には130円以上の米ドル高・円安となったのに対し、2015年は米ドル高・円安が130円を超えられない結果となったのは、5年MAなど長期移動平均線からのかい離率などで見ると、後者の方の米ドル「上がり過ぎ」懸念が強くなっていたことが一因と考えられた。

足元で120円を米ドル高・円安が超えてきたものの、5年MAかい離率はプラス10%を僅かに上回ったに過ぎない。その意味では、2015年に125円を記録した当時の米ドル「上がり過ぎ」懸念にはなお程遠いと言えそうだ。

ちなみに、足元の米ドル/円の5年MAは110円程度なので、この先130円まで米ドル高・円安が進んだとして、5年MAかい離率は2割未満の計算だ。2015年のように5年MAを3割以上も上回るなら140円以上といった計算になる。

今回の場合でも130円ではさすがに「上がり過ぎ」懸念が強まるものの、2015年のように「上がり過ぎ」の限界から米ドル高・円安が終わるのは、まだまだ先の話ということなのではないか。