東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に8日続伸となりました。日経平均は346円安の27,693円で寄り付き取引開始から10分で233円安の27,807円まで戻した後下げ幅を広げると9時30分過ぎに415円安の27,624円まで下落しました。しかし、その後は持ち直す展開となり312円安の27,727円で前場を終えた日経平均は287円安の27,752円で後場の取引をスタートさせると大きく下げ幅を縮め14時30分過ぎにプラスに転じ結局70円高の28,110円と高値引けで取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
東芝(6502)が一時5.1%安となりました。臨時株主総会で株式の非公開化や出資の受け入れを積極検討するなどの株主提案が否決されたことでTOB(株式公開買い付け)などによる株式非公開化の思惑が後退し後場に下げ幅を広げる場面がありました。ニトリホールディングス(9843)も一時3.1%安となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的のまん延防止等重点措置などが影響し3月の国内既存店売上高が前年同月比3.6%減と2ヶ月連続で前年割れとなったことで売りが優勢となりました。海運大手3社も大幅安となりました。3社が共同出資するコンテナ船事業会社が開いた事業説明会で中長期的な利益目標に関する言及がなかったことなどを失望した売りが出て日本郵船(9101)が7.3%安、商船三井(9104)が7.7%安、川崎汽船(9107)も9.6%安となりました。また、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)が取得総額が上限に達したことで自社株買いを終了したと発表したことから一時3.5%安となったほか、ツルハホールディングス(3391)も国内大手証券が目標株価を引き下げたことで一時4.7%安となり昨年来安値を更新しています。
一方でトヨタ(7203)が自己株式を除く発行済み株式数の0.58%に当たる8000万株と1000億円を上限とする自社株買いを発表したことで2.9%高となり、ヤマハ発動機(7272)も自己株式を除く発行済み株式数の3.18%に当たる1100万株と200億円を上限とする自社株買いを発表したことで2.7%高となりました。ユーグレナ(2931)も商船三井ロジスティクスグループがユーグレナの次世代バイオディーゼル燃料を用いたトラックの運行を開始したと発表したことを材料視した買いで8.6%高となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は70円高となりました。原油価格が大きく上昇するなかインフレを警戒した売りが出て昨日の米国市場が大幅反落となったことから売りが先行しました。しかし、一時は400円以上下落しましたが朝方の売り一巡後に下げ渋ると後場に入って押し目買いが入り大きく持ち直し上昇に転じました。小幅高ながら高値引けとなったことで戻り相場への期待が一段と高まりそうですが、25日移動平均線との乖離率が引き続き6%を超え短期的な過熱感があるなかで明日以降も節目の28,000円を維持してさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や2月の米耐久財受注額、2021年10-12月期の米経常収支などが発表されるほか、22時45分には3月の米製造業PMI速報値が発表される予定です。また、ウクライナ情勢をめぐって北大西洋条約機構(NATO)や主要7カ国(G7)の首脳会議がベルギーで開かれる予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)