最近よく見かける不幸なニュースに「孤立死」というものがあります。
以前から独居老人などの「孤独死」は問題とされてきましたが、最近は二人暮らし世帯において双方とも病死、もしくは片方が亡くなったため要介助のもう一方が餓死する等の悲劇が多く見受けられます。少子高齢化、晩婚化、未婚(非婚)化が進む今、こうした問題は人ごとではなくなってきています。

一見、お金の問題ではなく、行政の問題のようにも見えますが、中高齢以上での単身や少人数世帯がどのように暮らしていくかというのは個々人のライフプラン上、大切な部分で、老後の生活コストを見直す意味では大いにお金に関係すると言えるでしょう。

これまでのライフプランニングと言えば、老後までの住宅及び生活費の概算とその確保について考えることとして紹介されていて、現在の生活を継続していくことをベースにプランニングしていくことが一般的です。ですが、介護費や入院費などとは別に、世間とのつながりを保つための方法やコストについても、若いうちからある程度の計画をしておくことが、今後は必要になってくると思うのです。

高齢になったときの「住まい方」も一つのポイントです。
健康上の問題が出てくれば、誰しも考えるのが介護保険の「施設サービス」が適用される以下のタイプの施設でしょう。

●「介護老人福祉施設」(「特養」)

●「介護老人保健施設」(「老健」)

●「介護療養型医療施設」

これらは要介護状態になったときに「施設サービス」の利用における自己負担が一割となる介護保険の対象で、医療等のケアを重視したものです。

「施設サービス」ではなく訪問介護や訪問入浴・デイサービスやショートステイなどの「居宅サービス」を、要介護認定に応じて受けることができ、健康上に問題なくとも入所できるタイプとしては「特定施設」と呼ばれる以下のような施設が増えています。

●「(介護付)有料老人ホーム」

●「ケアハウス」

これらの施設は入所に何千万円もかかる超高級なものもあり、費用もかなりばらつきがあります。

また、より健康に、自立した生活をしていきたい、という人々に注目されているものもあります。

●「グループリビング」(その住宅を「グループハウス」と呼びます)

一つ屋根の下で調理や清掃、食事などを共にする共同生活をしますが、個々人の居住スペースなどは独立性を保ちます。介護者と共に住まう「グループホーム」とは異なり、より個人の生活を重視しています。

どういう住まい方をするかで、その費用(コスト)は大きく変わってきます。もし介護状態になったら・・・ではなく、積極的に生活の場を選択していくという考え方、そのためにいろいろなケースを考慮、計算し、検討していくことが「孤立死」を避けるためにも必要ですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー