モトリーフール米国本社、2022年3月14日投稿記事より

主なポイント

・過去3回の株式分割は、いずれも10年以上前に実施
・当時はアマゾン・プライムもアマゾン・ウェブ・サービスも存在していなかった
・アマゾンは6月に株式分割を実施すると発表

オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コム(NASDAQ: AMZN)の株価が3,600ドルを超え、投資家の間では、「アマゾンは株式分割を発表するのではないか」との疑問が高まっていました。

株式分割は興味深い動きで、1株当たりの株価が小さくなるため、幅広い投資家に門戸が開かれるからです。例えば、1株に数千ドルもの金を投じることに二の足を踏む投資家もいます。

アマゾンは先週(3月9日)、株式分割(1株を20株に分割)を発表し、投資家の好奇心を満たしてくれました。株主総会で承認されれば、6月上旬にも株式分割が実施される予定です。

その後、アマゾンの株価は上昇するでしょうか。前回の株式分割に手がかりがあるかもしれません。

過去3回の株式分割

アマゾンの株式分割は初めてではなく、過去に3回実施されています。しかし、いずれも1998年~1999年の間に行われ、かなり昔の話です。

最後に実施したのは1999年9月2日で、その後の数ヶ月間に株価は75%上昇しました。しかし、それから数年間のパフォーマンスは精彩を欠き、高値に届かない水準が続きました。アマゾン株が本格的な上昇軌道に乗るまで、投資家は10年近く待たなければなりませんでした。

そこからアマゾン株の大躍進が始まり、株価は着実に上昇してきました。実際、前回の株式分割以来、アマゾンの株価は4,700%以上、上昇しています。

ということは、次の株式分割でも数週間で株価は急騰し、その後、さらに上昇するのに何年も待たなければならないのでしょうか。

今後何が起こるかを正確に予測することは不可能ですが、今回の株式分割後にアマゾン株がリターンを生み出すまでにそれほど時間はかからないと思われます。

それはなぜでしょうか。1999年当時と現在とでは会社の姿は大きく異なり、eコマース業界の見通しは明るくなる一方です。

インサイダー・インテリジェンスの予測によると、米国におけるeコマースの市場規模は2022年に1兆ドルに達する見通しです。新型コロナウイルスのパンデミック以前の予想では、2024年に市場規模が1兆ドルに達するとみられていましたが、パンデミックがeコマースの追い風となりました。

また、前回の株式分割当時、幾つかの重要な売上ならびに収益拡大要因は存在すらしていませんでした。例えば、サブスクリプション・サービスのアマゾン・プライムが開始されたのは2005年で、会員数は2020年に世界で2億人に達しました。

また、クラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2006年にサービスを開始し、今や業界のグローバルリーダーであり、アマゾンの営業利益の74%を占めています。

成長見通し

当然ながら、アマゾン・プライムやAWSはもはや新サービスではなく、今後も成長し続けられるのか疑問視する考えもあるでしょう。しかし、今ある要素だけでも自信を持つには十分です。

最新の決算発表で同社は、アマゾン・プライムの会員数が世界全体で「数百万人」増加したと発表しました。同社はアマゾン・プライムへの投資を継続しており、アマゾン・ファーマシーを通じた処方箋の取扱いといった新たな機能を次々と追加しています。一方、米国ではアマゾン・プライムの会費が引き上げられます。

AWSに関しては、調査会社シナジー・リサーチによれば、過去数年間にわたってアマゾンは32~33%の市場シェアを維持しています。最も近い競合相手であるマイクロソフトでさえ市場シェアは21%であり、アマゾンは依然として大きくリードしています。

つまり、アマゾンには今後数年間にわたって収益を生み出し続ける、2つの重要な成長の原動力があるということです。

では、今度の株式分割の話に戻りましょう。1999年ほどではないにせよ、分割直後に株価が跳ね上がることは十分に予想できます。前述の通り、1株当たりの株価が下がることで、勢いのある小売株であるアマゾンを買おうとする投資家が増えるかもしれません。しかし、それ以上に、これまでに築き上げてきたもののおかげでアマゾンは今後数四半期、そして数年にわたって成長し続け、株価も将来的に上昇し続けると思われます。

免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社であるホールフーズマーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。元記事の筆者Adria Ciminoはアマゾンを所有しています。モトリーフール米国本社はアマゾンとマイクロソフトを所有し、推奨しています。