来週3月15日は確定申告の期限です。
サラリーマンであれば、ほとんどの方が確定申告とは無縁で、面倒くさいものと思っている人も多いことでしょう。
株式投資をしている方の多くが「特定口座 源泉徴収あり」を選択しているのではないでしょうか?この口座であれば、煩わしい税金関係の手続きは証券会社にお任せしたまま完了しますからとても楽ですよね。

さて、「特定口座 源泉徴収あり」を選択して株式取引をされている方であっても、あえて確定申告をした方が有利になることがあります。

どういう時かというと、株式投資の損益が年間合計で損失となった場合、もしくは複数の証券会社に口座(特定口座、一般口座など)を保有していて、それぞれで利益が出たり、損失が出たりといった場合に、確定申告することで、それらを相殺(損益通算)し、翌年以降3年間に渡ってその損失を繰り越す(繰越控除)ことができるのです。
これを「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例」といいます。

確定申告が必要といっても、それほど難しいものではありません。
証券会社から手元に届いた特定口座年間取引報告書に基づいて、
「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算書」
「所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)」
という書類を作成、確定申告書に添付するのですが、記載方法については細かく指示がありますから、その通りにしていけば完成します。

こうした書類は税務署でももらえますし、国税庁のHPからダウンロードもできます。確定申告そのものも、時間を割いて税務署に行かずとも、e-Taxを使えば自宅のPCの前で完結します。(ただしe-Taxを始めるために専用のリーダーの購入や税務署への登録などの準備が必要ですが。)

この手続きをするにあたって、注意しなければならないのは、確定申告書はその年以降連続して提出する必要があることです。
例え、翌年に全く株式の売買がなかったとしても、最初に申告した損失の繰り越し分の申告をしなければなりません。

損失が出たら確定申告が絶対におトクなのか、といえばそうとも限りません。もし損失がわずかであれば、こうした手続きをすることで翌年以降も連続して確定申告が義務づけられてしまうため、面倒を感じるかもしれませんね。
翌年に大きな利益を得た場合、そのまま「特定口座 源泉徴収あり」にしておいた方が得することもあるでしょう。

今後のメリットデメリットも天秤にかけて選ぶようにしてくださいね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員

(※)税金の取扱いに関する詳細は、国税庁ウェブサイトまたは所轄の税務署等にご確認ください。