ユーロ関連のニュースがない日はないというくらい、ユーロ圏の債務問題・動向は今最も世界経済を左右している事柄の一つと言えるでしょう。
そうしたニュースで「ソブリン」という言葉をかなり頻繁に目にするようになっていますが、具体的なイメージはお持ちでしょうか?

ソブリン(sovereign)という英単語は、直訳すると君主、主権団体、独立国といった意味ですが、金融経済の世界では各国政府や政府関係機関を指し、一般に「ソブリン債」といえば各国政府や政府期間が発行または保証する債券(国債など)を意味します。
したがってソブリンリスクというと、財務問題、政情不安などによる国家(国)の経済上の信用リスクを指します。

ソブリンリスクが高まる=国の財政や政情不安が高まると、その国は国債市場において資金調達が厳しくなります。
経済状況が不安定な国にお金を貸したくはないですよね。貸すなら高い利子を取る・・・ということで利回りが上昇、国にとっては利払い負担が増大することで、ますます財政が厳しくなり、上記ソブリン債の債務不履行の可能性が高まることとなります。

個人投資家がソブリンリスクの状況を判断するのによく利用されるものは、格付け会社による「カントリーシーリング」などの「信用格付け」があります。
確かに債券の購入時など、信用リスクを判断する際には必ず確認すべきでしょう。ですが、信用格付けは日々変更・更新されるのではないため(ある程度の時間をかけて調査・判断・発表されるもの)、リアルタイムな信用状況の把握とは言いにくいかもしれません。

その日々の動向を知るには、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」(なかでも「ソブリンCDS」)の動きが参考になります。
経済ニュースなどでこの単語を見かけることも増えているのではないでしょうか?

CDSは信用リスクを取引するデリバティブ商品(クレジット・デリバティブ)の一種で、国債などの信用リスクの保険のような役割を果たしています。
CDSの買い手は保証料(プレミアム)を支払うことで、契約の対象となる債券(債権)が契約期間中に債務不履行となった場合、その損失(元本・利息等)を保証してもらえ、売り手はプレミアムを受け取る代わりに、債務不履行時には買い手に対して損失分を支払う義務が生じるというものです。
CDS市場が形成されていて、その保証料(保証率)は信用リスクによって上下します。プレミアムが高まれば信用リスクが高まっていることになります。

CDSはほぼ金融機関や機関投資家間で取引されているので、個人投資家が参加できる市場ではないものの、その値動きはネット上などで見ることができます。
ソブリンリスクの動きをリアルタイムに知ることは、FXや株式取引にも役立つのではないでしょうか。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー